映画『犯罪都市 PUNISHMENT』レビュー
イントロダクション
韓国クライム・アクションの大人気シリーズ『犯罪都市』第4弾。
“マブリー”ことマ・ドンソク演じる怪物刑事マ・ソクトが、今度は違法オンラインカジノ&サイバー犯罪を相手に、国境を越えて暴れまくる1本です。
舞台は新種合成麻薬事件から3年後。
スマホアプリやオンラインカジノを悪用したサイバー犯罪が横行する中、
元傭兵のサイコパス悪党と、IT天才CEOがタッグを組み、裏社会の金をかき集める──。
「殴って・吹っ飛んで・笑える」というシリーズの基本はそのままに、
今作ではグローバルな資金洗浄、オンラインギャンブル、サイバー捜査など、
時代感バッチリのネタを詰め込んだ、さらにスケールアップした痛快アクションになっています。
作品情報
- タイトル:犯罪都市 PUNISHMENT
- 原題:범죄도시4(英題:The Roundup: Punishment)
- 公開年:2024年
- 日本公開:2024年9月27日(上映時間109分)
- 製作国:韓国
- ジャンル:アクション/クライム
- 監督:ホ・ミョンヘン(『犯罪都市』シリーズでアクション演出を担当してきたスタント出身監督)
- 脚本:オ・ソンホ
- 企画・原案・制作・主演:マ・ドンソク
- 製作:キム・ホンベク
- 製作会社:Big Punch Pictures/Hong Film/B.A. Entertainment
- 配給(日本):ハピネットファントム・スタジオ
本作は、実際にタイ・パタヤで起きた韓国人によるオンラインギャンブルサイト事件をモチーフにしていると言われており、
シリーズの中でもかなり“今の犯罪”に切り込んだ内容になっています。
キャスト紹介
メインキャスト
- マ・ドンソク … マ・ソクト
怪物刑事。ソウル広域捜査隊の“拳で語る”伝説の刑事。
正義感はもちろん、食欲とパンチ力もモンスター級。 - キム・ムヨル … ベク・チャンギ
元韓国特殊部隊で現在はオンラインギャンブル組織のトップ。
冷酷無比&格闘能力お化けの“戦闘マシーン系”ヴィラン。 - パク・ジファン … チャン・イス(チャン・イ ス)
アーケードゲーム場の会長。シリーズおなじみのチンピラ寄りビジネスマン。
今回もコミカル要員+重要な情報源として大活躍。 - イ・ドンフィ … チャン・ドンチョル
ITの天才にして、コイン業界の若きCEO。
オンラインカジノのシステムを握る頭脳派ヴィランで、ベク・チャンギと手を組む危険人物。
捜査チーム
- イ・ボムス … チャン・テス
ソウル広域捜査隊の隊長。マ・ソクトをなんとか制御しようとする苦労人上司。 - キム・ミンジェ … キム・マンジェ
ソクトの相棒ポジションの刑事。いつも横でツッコミとフォローに走り回る存在。 - そのほか、サイバー捜査チームの新メンバーたちも加わり、
“昭和な殴り刑事”と令和のIT捜査のギャップが良いアクセントになっています。
あらすじ※ネタバレあり
2018年。
ソウル広域捜査隊の怪物刑事マ・ソクトは、
新種の合成麻薬“ハイパー”がデリバリーアプリを悪用して密売されているという不可思議な事件を追っていた。
しかしその裏には、もっと巨大で見えない犯罪ネットワークが潜んでいた。
◆アプリ開発者の不審死
ある日、人気アプリを作っていた若いエンジニアが、
“自殺”として片付けられた不可解な死を遂げる。
彼の母親が涙ながらに訴えた言葉に、
マ・ソクトは「これは必ず裏がある」と直感する。
捜査を進めると、被害者はオンラインカジノのシステム構築に関わっていたことが判明。
しかも、そのアプリは犯罪組織が資金洗浄に使っている“入り口”になっていた。
ソクトはここで気づく。
「麻薬も、アプリも、全部つながっている」と。
◆オンラインカジノ帝国のトップ
背後で糸を引いていたのは、
元特殊部隊で傭兵上がりの男 ベク・チャンギ。
彼は海外に拠点を置き、
“違法オンラインカジノの帝王”として莫大な金を動かしていた。
チャンギは恐怖で人を支配するタイプの悪党で、
開発者たちを監禁し、逃げようとすれば容赦なく殴り倒す。
まさに“武力で支配するIT犯罪王”。
その暴力性に、ソクトの拳がゆっくりと火を吹き始める。
◆もう1人のキーマン──IT天才CEO
そして、チャンギと手を組むもう1人の黒幕が、
仮想通貨事業で急成長した若きCEO チャン・ドンチョル。
彼は、
- コイン
- オンラインゲーム
- 決済アプリ
- クラウドサーバー
をすべて組み合わせて、
“合法に見せかけて犯罪資金を洗浄する世界レベルのスキーム”を作り上げていた。
彼は手を汚さない。
汗もかかない。
ただモニターの前で、
「一度回り出したシステムはもう誰にも止められない」と笑うだけ。
ソクトとは真逆の“現代型の悪”。
ここに、物語の緊張感が生まれる。
◆捜査線が海外へ──密室のサーバーと監禁部屋
アプリ開発者の死、麻薬の流通経路、オンラインカジノのサーバー。
全てが1本の線に繋がったとき、
ソクトたちはフィリピンへ向かう重大な証拠を掴む。
そこには、
- PCが並ぶ巨大なサーバールーム
- 逃げられないように監禁された開発者たち
- 暴力で支配するチャンギの部下たち
という“地獄のような裏稼業拠点”があった。
ここで、ソクトはある“遺族の願い”を胸に、ついに覚悟を決める。
◆怒りのソクト、ついに発火
「殴られたら、殴り返す。
いや、殴られてなくても殴るべき悪党は殴る。」
ソクトらしい理論と共に、怒涛のアクションが始まる。
- サーバー室での肉弾戦
- ハイウェイでのカーチェイス
- 海外警察との合同作戦
- チャンギとの“人間 vs 戦闘マシーン”邂逅
シリーズ史上もっとも“国際犯罪感”が強く、
“サイバー犯罪 × 肉体派刑事”というギャップが最大限活かされるクライマックスへ。
◆最終局面──頭脳と筋肉、どちらが勝つのか
チャンギの“暴力による恐怖支配”と、
ドンチョルの“ITでのスマート支配”。
2人の悪党が築いたオンラインカジノ王国は、
まさに“今の時代に最適化された犯罪ビジネス”。
だからこそ、
最後の砦となるのは、昔ながらの拳と覚悟を持つソクトしかいない。
最後は、
「こんなにボコボコにして大丈夫なのか?」レベルの
シリーズ最大級の殴り合いが展開される。
ここはぜひ本編で観てほしい。
スクリーン越しに“振動”を感じるほどの迫力です。
◆まとめ:シリーズの進化と“現代犯罪”の融合
今作の魅力は
「オンラインカジノ・アプリ・仮想通貨」という最新犯罪が、
マ・ドンソクの拳によって物理的に解決される」というギャップ。
ハードなテーマなのに重く感じず、
サスペンス → 笑い → アクションのリズムが完璧で、
シリーズ経験者にも新規にも刺さる構成になっています。
私の感想
シリーズらしい“ド直球のアクション”に加えて、今回はオンラインカジノや仮想通貨といった現代的な犯罪が背景に描かれていて、内容に厚みがあるんですよね。軽く観始めたつもりが、途中から普通に集中して観ていました。
まず、悪役の存在感がとにかく強烈です。
キム・ムヨルが演じるチャンギは、感情がどこか抜け落ちたような冷たい目をしていて、「あ、これはソクトに殴られるためのキャラやな…」と思ってしまうほどハマり役。派手に怒鳴るタイプではなく、静かに、淡々と人を追い詰める感じが逆に怖いんですよね。
その横で、イ・ドンフィの演じるIT社長ドンチョルがまた嫌な味を出していて、軽い口調と薄い笑みの“信用してはいけない男感”が抜群。ムヨルの“暴力”と、ドンフィの“頭脳と金”。この組み合わせが絶妙で、作品全体にリアルさを持たせています。こういう悪役が二枚看板で揃うのは、シリーズの中でも珍しいバランスかもしれません。
オンラインカジノや資金洗浄の話も雑に扱われていないので、観ていて「なるほど、こういう構造なのか」と自然に理解できました。アクション映画って悪事の説明が薄くなりがちですが、今回は意外ときちんとしていて、そこが作品の面白さにつながっていると感じました。
一方で、マ・ソクトは相変わらずブレません。
システムやサーバーがどうとか難しい話が続いていても、ソクトだけは「結局殴れたらええんでしょ?」という空気を最後まで貫いてくれるので、観ていて安心感すらあります。時代はどれだけ変わっても、この人の正義は“拳”。このシンプルさがシリーズの魅力ですよね。
終盤のアクションは、画面越しでもしっかり重みを感じるほど迫力がありました。ソクト vs チャンギの対決は、ただの殴り合いではなく、お互いの覚悟がぶつかるような緊張感があって、見応え十分。派手さだけじゃなく“引き締まったアクション”という印象でした。
それに、シリアスな展開の中でこっそり挟まれるユーモアがちょうどよくて、観ていて息が詰まらないのも良かった点。ギャグを入れすぎず、でもちゃんと笑える。絶妙に空気を和らげてくれる演出が光っていました。
総合的に、今作は“重さとテンポの良さ、リアルさと痛快さ”がうまく噛み合った一本でした。Netflixで気軽に観たわりに、観終わったあとはしっかり満足感が残る作品で、「シリーズ、また一つレベル上がってない?」と感じるくらいの出来。
気負わず観ても楽しめるし、真剣に観ても面白い。そんな絶妙なバランスの映画でした。
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