映画『ババンババンバンバンパイア』レビュー
イントロダクション
「ババンババンバンバンパイア」は、漫画原作の“ある意味で異色”のラブコメディ作品。吸血鬼と銭湯、そして“童貞”というテーマを組み合わせ、「BL(ブラッディ・ラブコメ)」というジャンルも含ませたユーモアと甘酸っぱさのある物語です。普通の恋愛ものとも、ホラーとも違う、ちょっとぶっ飛んだ要素を持ちながら、キャラクターたちの心情や関係性のやり取りで思わずクスッと笑ったり、ドキドキしたりするタイプの作品です。
実写映画化にあたっては、豪華キャストと監督・脚本チームが揃っていて、コメディとファンタジー要素のバランスなど、原作ファンも初見の人も引き込まれるような作品に仕上がっているようです。
作品情報
- タイトル:ババンババンバンバンパイア
- 公開日:2025年7月4日
- 上映時間:105分
- ジャンル:ラブコメディ × ファンタジー
- 監督:浜崎慎治
- 脚本:松田裕子
- 原作:奥嶋ひろまさ「ババンババンバンバンパイア」(秋田書店)
- 配給:松竹
- 主題歌:「いい湯だな 2025 imase × mabanua MIX」
キャスト紹介
- 森蘭丸(吉沢亮):銭湯で働く青年の姿をした450歳のバンパイア。
- 立野李仁(板垣李光人):銭湯の息子で純粋な15歳。蘭丸の“至高の血”の対象。
- 篠塚葵(原菜乃華):李仁の同級生で初恋の相手。
- 森長可(眞栄田郷敦):蘭丸の兄で敵対する存在。
- 坂本梅太郎(満島真之介):教師を装うバンパイアハンター。
- 篠塚健(関口メンディー):葵の兄。コメディ的に蘭丸と対立。
- 織田信長(堤真一):蘭丸の過去に関わる人物。
- その他:音尾琢真、映美くらら、笹野高史らが李仁の家族や周囲を演じる。
ネタバレあらすじ
銭湯「こいの湯」で黙々と働く青年・森蘭丸(吉沢亮)。だがその正体は――450年もの時を生きるバンパイア。
彼の欲望はただひとつ。「18歳童貞の血」こそが至高の味。その日を待ちわびながら、銭湯の息子・**立野李仁(板垣李光人)**をひそかに見守り続けていた。
まだ15歳の李仁は、天真爛漫で恋愛経験ゼロ。蘭丸にとっては「大切に育てたい理想の純血の花」だった。
ところがある日、李仁が同級生の**篠塚葵(原菜乃華)**に恋をしてしまう。教室でのふとした笑顔に胸を打たれ、李仁は初めて「恋」を知る。
蘭丸は愕然とする。恋が進めば李仁は“純潔”を失う。つまり、自分が長年待ち望んだ「至高の血」を味わう前にすべてが終わってしまうのだ。
「……させぬ。李仁は、まだ私のものだ。」
蘭丸は血よりもむしろ「李仁を守りたい」という歪んだ愛情に突き動かされ、必死に恋の進展を阻止しようとする。
だが、李仁と葵の距離はどんどん縮まっていく。放課後に二人で勉強したり、銭湯に葵が訪れたり――。蘭丸の焦りは頂点に達する。
そんな彼の前に現れたのは、蘭丸の兄・長可(眞栄田郷敦)。冷酷で暴力的な彼は「李仁の血を奪う」ことを狙っており、蘭丸に「お前には守れまい」と挑発する。兄弟の因縁が再燃し、物語は一気に血なまぐさい方向へ加速する。
さらに追い打ちをかけるように、バンパイアハンターの**坂本梅太郎(満島真之介)**が李仁の学校に赴任。教師を装いながら蘭丸の存在を追い詰める。昼は教壇に立ち、夜は十字架と杭を手に“吸血鬼狩り”を仕掛ける――。
葵の兄・**健(関口メンディー)**までが「妹を守る!」と勘違いして蘭丸に突っかかり、銭湯や学校は修羅場と化す。
そんな混乱の中、李仁は蘭丸の秘密を知ってしまう。
「君は……人間じゃないのか?」
驚愕と恐怖、しかし同時に蘭丸の孤独を理解する眼差しを向ける李仁。蘭丸の心は大きく揺らぐ。
やがてクライマックス。李仁と葵の関係が“ある一線”を越えそうになる夜――。
蘭丸は必死に二人の間に割って入り、「純潔を守れ!」と叫ぶ。しかしその執念は歪んだ愛か、それとも自己中心的な欲望か。
兄・長可との死闘、ハンター坂本の襲撃、そして李仁の「僕はもう子どもじゃない!」という決意。
血と汗と涙が入り混じる混乱の中で、蘭丸はようやく悟る。
――「血が欲しかったのではない。私は李仁と共に“青春”を味わいたかったのだ」と。
しかし時は残酷。李仁と葵の初恋は確実に進んでいく。蘭丸の手から零れ落ちていく“純潔”。
それでも彼は笑った。
「ならばせめて、この恋を見届けよう。これもまた、甘美なる血の味だ。」
ラスト、銭湯の湯気の中で交錯する視線。
蘭丸の瞳には、愛と渇望と一抹の切なさが宿っていた――。
私の感想
いやぁ、タイトルからして「なんだこれは⁉」って感じでしたけど、実際に観てみると想像以上にバカバカしくて面白かったです…笑
「450歳のバンパイアが、18歳童貞の血を狙って銭湯でバイトしてる」って設定、冷静に考えると意味不明すぎるんですが、でもその“ありえなさ”が逆にクセになるんですよね。
特に吉沢亮さん演じる蘭丸。見た目はめちゃくちゃイケメンでクールなのに、やってることは「童貞を守れ!」って本気で奮闘してるんですよ。普通に考えたらドン引き案件なのに、なんだか応援したくなる…笑。このギャップが最高でした。
板垣李光人くんの純粋さもハマってましたね。もう「守りたい、この笑顔!」ってなるレベル。蘭丸が必死になる気持ちも、なんとなく理解できちゃうのがズルい。
それに原菜乃華さんの葵もただのヒロインじゃなくて、けっこう天然でツッコミどころ満載だから、三角関係(?)のバランスがカオスで面白いんです。
あと個人的にツボだったのは、眞栄田郷敦さん演じる兄・長可。イケメン兄弟のバトルは絵面が豪華すぎて、内容が「童貞をめぐる争い」だってことを忘れそうになります…笑。いや、むしろ忘れちゃいけないところか。
満島真之介さんのバンパイアハンターもいい味出してましたね。教師の顔して昼間は真面目に授業してるのに、夜は杭持って「さあ吸血鬼狩りだ!」って……完全に二重生活。観てて「いや、ブラックすぎるだろ!」ってツッコミ入れたくなりました。
全体的にコメディ要素強めなんですが、不思議と最後にはちょっと切なさが残るんですよね。蘭丸が“血”よりも“青春”に惹かれていく流れは、笑いながらも「なんか分かるなぁ」って共感できる部分がある。
「恋」って、理屈じゃなくて純粋な衝動だからこそ尊いし、バンパイアみたいに何百年生きてても振り回されちゃうものなんだなと。
総じて言うと、タイトルで笑わせて、中身でまた笑わせて、最後にちょっと胸に残る。そんな一粒で三度おいしい作品でした。
エンドロールの「いい湯だな」が頭から離れなくなるし…笑、鑑賞後はなんだかスッキリした気分になれる映画でした。
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