【完全無罪】連続ドラマWネタバレあらすじ全話まとめ|キャスト・感想・考察レビュー

出典:WOWOW連続ドラマW『完全無罪』
目次

連続ドラマW【完全無罪】レビュー

イントロダクション

広瀬アリス主演、大森立嗣監督によるリーガル・ミステリードラマ。幼少期に被害者だった弁護士・松岡千紗が、21年前の少女誘拐殺人事件「綾川事件」の再審裁判を担当。自分を殺めたかもしれない容疑者との対峙を通じて、信じるとは何かを問う、心を揺さぶるヒューマンストーリーです。


作品情報

  • 原作:大門剛明『完全無罪』(講談社文庫、2019年1月16日刊)
  • 放送期間:2024年7月7日〜8月4日、WOWOWプライム枠で放送(全5話)
  • 監督・脚本:大森立嗣
  • 音楽:江﨑文武
  • プロデューサー:植田春菜、神山明子
  • DVD-BOX発売:2025年2月5日発売(在庫中/レンタルも同日開始)

キャスト紹介

  • 松岡千紗(広瀬アリス):被害者であり弁護士。再審裁判に挑む主人公。
  • 平山聡史(北村有起哉):21年前の事件の容疑者だが冤罪を訴える。
  • 有森義男(奥田瑛二):元刑事で、現在は被害者支援に関わる。不信感を抱きながらも葛藤。
  • 熊弘樹(風間俊介):地元香川で千紗と再会した弁護士で協力者。
  • 真山健一(鶴見辰吾):千紗の上司で再審担当を指示するシニアパートナー。
  • 池村敏恵(財前直見):被害者遺族で支援員として働き、葛藤する。
  • 今井琢也(音尾琢真):有森の元部下で元刑事。再審で千紗と対峙。
  • 堀部圭亮(瀬戸口規夫弁護士/元検事)、菅原大吉(記者・中垣内)、おかやまはじめ(千紗の父)、池谷のぶえ(母)、夏生大湖(被告・田村彪牙)など豪華脇役陣も出演。

【完全無罪】あらすじ解説(ネタバレあり

第1話「悪い夢」

東京の大手法律事務所で働く弁護士・松岡千紗(広瀬アリス)は、上司の真山(鶴見辰吾)から思いもよらない案件を任される。それは21年前に故郷・香川で起きた「綾川事件」――少女連続誘拐殺人事件の再審だった。しかも千紗自身こそ、当時拉致され監禁されながらも奇跡的に生き延びた唯一の被害者だった。
依頼人はその事件で逮捕・服役した平山聡史(北村有起哉)。彼は「俺は無実だ」といまも訴え続けている。千紗は動揺しながらも、職務として故郷に戻り、地元の弁護士・熊弘樹(風間俊介)と共に再審の準備を始める。だがそこに立ちはだかるのは、当時捜査を指揮し、いまは被害者遺族の支援員を務める元刑事・有森義男(奥田瑛二)。「あいつが犯人に決まっている」と断言する有森に、千紗の心は再び過去の悪夢へと引きずり込まれていく。


第2話「針穴と駱駝」

千紗と熊は事件記録を洗い直し、当時の捜査に多くの矛盾が潜んでいることに気づく。自白調書は取り調べによって作られた可能性が高く、物証も決定打に欠けていた。さらに、当時目撃証言をした人物が“なぜか消えている”事実も浮かび上がる。
一方で有森は、失った少女の母・池村敏恵(財前直見)と寄り添いながら、「正義を守るのが自分の使命だ」と信じている。千紗は自分の記憶が曖昧であることに苦しみ、被害者としての自分と弁護士としての自分の間で揺れ動く。「信じることは、裏切られるかもしれないことだ」――その葛藤の中で、彼女はなおも真相を探ろうと決意する。やがて、再審請求に踏み切る千紗。だが世間の視線は冷たく、「被害者のくせに加害者をかばうのか」と非難が千紗に向けられる。


第3話「正義という名の罪」

再審審理の行方を左右するのは、元刑事・今井琢也(音尾琢真)の証言だった。千紗は必死に彼に接触し、やがて驚くべき真実が明らかになる。今井は、当時の捜査で「上からの圧力に従い、平山の車に被害者の毛髪を置いた」と告白したのだ。つまり決定的証拠とされた物は“捏造”されていた。
法廷で明かされた衝撃の事実により、平山への有罪判決は大きく揺らぎ、再審の扉が開かれる。世論も「冤罪だ」と大きく傾き始める。だが千紗はその流れに心から乗り切れない。無罪になったとしても、それが即ち「平山が真犯人でない」という証明にはならないからだ。彼女の胸には「無罪」と「無実」の違いが重くのしかかる。


第4話「怪物の家」

再審で一時的に釈放された平山を千紗は密かに追う。すると彼が向かったのは、21年前に千紗自身が監禁されていた“廃屋”だった。そこで平山は「真犯人を名乗る人物から手紙を受け取った」と語る。千紗は混乱し、平山の言葉が真実なのか新たな欺瞞なのかを見極められずに苦しむ。
一方、有森のもとにも不審な電話がかかる。「証拠を仕込めば、真犯人に近づける」と囁かれ、誘導された場所は神社の古井戸。暗闇に口を開ける井戸は、まるで過去の罪を飲み込む“怪物の口”のように見えた。正義を信じる男と、真実を追い求める女――二人の心はさらにかき乱されていく。


最終話「完全無罪」

古井戸から発見された白骨は、21年前から行方不明だった少女・高木悠花のものと判明。その遺体からは平山の毛髪が検出され、再び彼に疑惑の目が向けられる。無罪を勝ち取ったはずの男が、またも“犯人”に仕立て上げられていく。
追い詰められた千紗の前に浮かび上がるのは、かつて目撃証言を行った男・川田清の存在。彼こそが真犯人であり、21年前の捜査を意図的に狂わせた張本人だった。川田は「俺は正義のためにやった」と歪んだ自己正当化を繰り返す。
彼の口から吐き出される残酷な真実に、千紗は耐えきれず吐き気を催し、耳を塞ぐ。冤罪は晴れたはずなのに、誰一人として救われていない――。
「完全無罪」――その言葉が持つ皮肉は、視聴者の胸に鋭く突き刺さる。無罪とは判決の結果でしかなく、無実を意味するわけではないのだ。
正義とは誰のためにあるのか?信じるとは何を意味するのか?
残された問いは、視聴者の心に重く突き刺さる。

私の感想

「完全無罪」を観終わってまず思ったのは、**“正義ってこんなに脆いものだったのか”**という感覚でした。普通、冤罪もののドラマって「真実が明らかになってよかったね」で終わることが多いのに、この作品はそこからさらに一歩踏み込んでくるんです。

千紗(広瀬アリス)の立場は、ただの弁護士じゃなくてかつての被害者。その彼女が「自分を殺しかけたかもしれない相手」を弁護する――これだけで物語としては十分重いのに、実際はもっと複雑で、人間の“信じることの怖さ”を突きつけてくるんですよね。

特に印象的だったのは、千紗が「無罪は必ずしも無実じゃない」と気づく瞬間。裁判で勝っても、それは“法律的に疑わしいから無罪”というだけで、本当にその人が犯人じゃないかどうかは別問題。そこに揺れる千紗の表情を見ていて、こっちまで胃が痛くなるような緊張感がありました。

そして、平山を演じる北村有起哉さん。あの存在感、怖いくらいリアルでした。「無実を訴える人」としては説得力があるのに、どこか信じきれない不気味さも漂っていて。観ているこちらも「もしかして本当は…?」と疑心暗鬼になる。ドラマなのに、まるで自分が陪審員にでもなったような感覚にさせられるんです。

奥田瑛二さん演じる有森の“正義”もまた苦しい。彼は被害者遺族のために動いているつもりなのに、その正義は実は自分の信念に縛られていて、時に歪んでいく。**「正義は誰のものなのか」**という問いを突きつけられて、見ている側も考え込まずにはいられませんでした。

最終回、真犯人の存在が明らかになったときは、ただスッキリするどころか逆に胸が重くなるんですよね。21年前に運命を狂わされた人たちの人生は、もう二度と元に戻らない。無罪判決が出ても、失われた時間も命も戻らない。結局、「完全無罪」なんてこの世には存在しないんじゃないか――そんな虚無感が残りました。

全体を通して感じたのは、これは単なるサスペンスでも法廷劇でもなくて、“人間を裁く”ことの本質を描いた作品だということ。観ている間ずっと緊張感が続いて、終わった後もしばらく放心してしまうくらい余韻が強い。正直、気軽に観るドラマではないけれど、観た人の心には確実に何かを刻み込む力を持っていると感じました。

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