小説『俺ではない炎上』レビュー
イントロダクション
もし、あなたのSNSアカウントから 女子大生の遺体画像が拡散され、一瞬で“殺人犯”に仕立て上げられたら――?
考えただけでゾッとしますよね。
浅倉秋成の小説『俺ではない炎上』は、そんな現代人の悪夢を描いた社会派サスペンスです。
「炎上」「ネット私刑」「冤罪」という誰もが他人事ではないテーマを、スリリングかつ疾走感のある物語に仕上げています。
作品情報
- タイトル:俺ではない炎上
- 著者:浅倉秋成
- 出版社:双葉社
- ジャンル:サスペンス・ミステリー・社会派小説
- 映画化:主演・阿部寛で実写映画化予定(2025年公開予定)
登場人物(主要)
- 山縣 泰介:大手ハウスメーカー勤務の営業部長。ある日いきなりネット上で“犯人”と名指しされ、個人情報が晒され炎上の渦に。無実を訴えながら逃亡・捜査に踏み出す主人公。
- サクラ:泰介を追う謎の大学生。何を目的に動いているのか――真相に絡むキーパーソン。
- 初羽馬(はつはま):大学生インフルエンサー。再生数と承認欲求の文脈で“炎上”に加担していく若者像を体現。
- 青江:取引先企業の若手社員。拡散・監視が“日常化”した世界で、個人の判断が事態を転がしていく。
- 山縣 芙由子:泰介の妻。本人すら信じてもらえない“炎上”的状況が、家族関係をも崩していく。
あらすじ(ネタバレなし)
大手ハウスメーカーの営業部長 山縣泰介は、真面目に働き、平凡ながらも安定した日々を送っていた。
ところがある日、社内の空気が一変する。視線は冷たく、ヒソヒソ声が飛び交う。理由を探るうちに、彼のもとに衝撃の知らせが届く。
「あなたのSNSアカウントから、女子大生の遺体写真が投稿されています」
画面に映し出されたアカウント名は「たいすけ0701」。そこには、本人しか知らないはずの私物や生活の断片まで綴られていた。
まるで長年本人が運営してきたかのような作り込みに、周囲は「泰介が犯人だ」と信じ込んでしまう。
最初は「誤解はすぐに解ける」と考えていた泰介。しかし現実は甘くない。
投稿は瞬く間に拡散され、“炎上”は止められない社会現象へと発展していく。
住所や勤務先は晒され、家族の名前までネットに書き込まれる。会社は彼を切り捨て、家族すらも疑念を抱き、彼は孤立無援の立場に追い込まれていく。
街を歩けば、不審な目線が突き刺さり、見知らぬ誰かに追いかけられる。
SNSでは「こいつを許すな」「自分たちで裁くべきだ」と、正義を語る群衆が炎をさらに煽る。
配信者は再生数のために泰介の行動を実況し、インフルエンサーは「犯人像」を面白おかしく語る。
社会全体が巨大な監獄となり、彼を追い詰めていくのだ。
そんな中、泰介の行く手に現れるのは――
- 執拗に彼を追い続ける謎の大学生 サクラ
- 炎上を拡散し続ける大学生インフルエンサー 初羽馬
- 思わぬ形で事態に関わる取引先の若手社員 青江
- そして、信じたいのに信じきれない 家族
それぞれの思惑と立場が絡み合い、事態はさらに混迷を深めていく。
「俺はやっていない。無実を証明しなければ」
泰介は逃げながら、真相に近づく手がかりを求めて奔走する。
だが追跡の輪はますます狭まり、彼の一挙一動さえも拡散の餌食になっていく。
炎上が拡大するスピードは止まらず、やがて――
泰介は、自分がなぜ“選ばれた”のかという核心に手をかけていく。
私の感想
読んでる間、ずっと心の中で「いやいや、こんなバカな…」って突っ込み入れてたんですが、ページをめくるたびに**「あ、これ普通に現実で起こりうるな」**って背筋がゾワッとしました。
SNSアカウントから女子大生の遺体画像が拡散されて“犯人”にされる――って、設定だけ聞くとフィクション全開なのに、細かい描写がリアルだから全然笑えないんですよね。
特に、会社や家族ですら疑ってくるシーンは、正直「これが一番のホラーだろ!」って思いました。SNSの炎よりも、身近な人の信頼が崩れる瞬間の描き方が刺さります。
それと、群衆心理の怖さがめっちゃ効いてましたね。誰もが「自分は正義」だと思って拡散ボタンを押していく姿、まるで現代版の魔女狩り。ネットの中だけじゃなく、現実社会まで火の粉が飛んでくるところにゾッとしました。
ただ暗いだけじゃなくて、物語自体はめちゃくちゃスピード感があるから、一晩で一気読みコース。途中で「もう寝ないとヤバい」って時計を見たのに、結局最後まで読んでしまった自分も炎上に加担してる気分でした…笑
ラストを読み終えた後は、**「SNSって便利だけど、マジで火炎放射器」**って思わず呟きましたね。自分のアカウント、パスワードちゃんと管理しとこ…。
おすすめしたい読者
- SNSを日常的に使っている人
- 炎上やネットトラブルに不安を感じている人
- 疾走感のあるサスペンスが好きな人
- 映画化前に原作を押さえておきたい人
まとめ
『俺ではない炎上』は、ただの小説ではなく、
「もし明日、自分が炎上したら…?」
というリアルな恐怖を体感できる物語です。
読み始めたら最後、あなたも“止められない炎上の渦”に飲み込まれるはず。
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