Netflix『阿修羅のごとく』レビュー
『阿修羅のごとく』は、向田邦子の名作ドラマを是枝裕和監督がリメイクしたNetflixオリジナルシリーズで、2025年1月9日より全7話が一挙配信されました。
物語は、竹沢家の四姉妹が父親の愛人問題をきっかけに、それぞれの人生や家族の絆に向き合う姿を描いています。家族の秘密や葛藤が次第に明らかになり、姉妹たちは自身の幸せとは何かを模索していきます。
作品情報
- タイトル: 阿修羅のごとく
- 配信開始日: 2025年1月9日
- 話数: 全7話
- 監督・脚色・編集: 是枝裕和
- 原作・脚本: 向田邦子
- 配信プラットホーム:Netflix
キャスト紹介
- 三田村綱子(長女): 宮沢りえ
- 夫の死後、活け花の師匠として生計を立てる。料亭「桝川」の主人・貞治と後ろめたい関係を続けている。
- 里見巻子(次女): 尾野真千子
- 専業主婦として夫と二人の子供と暮らすが、夫の浮気を疑っている。
- 竹沢滝子(三女): 蒼井優
- 都立図書館で司書として働く。父の不倫を疑い、興信所の勝又に調査を依頼する。
- 竹沢咲子(四女): 広瀬すず
- 喫茶店のウエイトレスで、ボクサーの卵と同棲中。幼い頃から家族の中で疎外感を抱いている。
- 里見鷹男(巻子の夫): 本木雅弘
- 会社員で部長職。妻に浮気を疑われている。
- 勝又静雄(興信所の所員): 松田龍平
- 滝子の依頼を受け、調査を行ううちに彼女に惹かれていく。
- 陣内英光(咲子の恋人): 藤原季節
- ボクサーの卵で、咲子と同棲している。
- 桝川貞治(料亭「桝川」の主人): 内野聖陽
- 綱子と密会を重ねる。
- 竹沢恒太郎(四姉妹の父): 國村隼
- 退職後も働いているが、実は愛人の家に通っている。
- ふじ(四姉妹の母): 松坂慶子
- 夫の浮気に気づきながらも沈黙を貫いてきた。
あらすじ
物語は、竹沢家の父・恒太郎が心臓発作で倒れるところから幕を開けます。一見平穏に見えた家族ですが、この出来事をきっかけに、長年隠されてきた秘密が次第に明らかになっていきます。父親が密かに愛人と関係を持ち、その家を頻繁に訪れていた事実を知った四姉妹は、ショックを受けながらも、それぞれの立場から家族の未来を考え始めます。
長女・綱子は、夫を亡くしてから活け花の師匠として自立した生活を送っているものの、料亭の主人・貞治との不倫関係に苦悩しています。自分が家庭を壊しかねない行動をしていることに後ろめたさを感じつつも、孤独を埋めるために彼との関係を断ち切れずにいます。
次女・巻子は、専業主婦として平穏な家庭を築いているように見えますが、夫の浮気を疑い始め、心の中に疑念が芽生えます。家族を守りたいという思いと、自分自身を大切にするべきかという葛藤の中で揺れ動く姿がリアルに描かれています。
三女・滝子は、都立図書館で働く冷静沈着な性格の持ち主ですが、父の行動を怪しみ、興信所の所員・勝又に調査を依頼します。次第に調査が進む中で、滝子自身も勝又に惹かれていき、自分の人生を見つめ直す機会を得ることになります。
四女・咲子は、姉たちとは対照的に奔放で自由な性格。喫茶店のウェイトレスをしながら、ボクサーを目指す恋人と同棲中ですが、家族の中で感じてきた疎外感や自分の居場所を見つけられない苦悩を抱えています。恋人との未来に希望を見出そうとする一方で、家族の問題に巻き込まれ、思わぬ選択を迫られることに。
一方で、母・ふじは夫の浮気を薄々感づきながらも沈黙を貫いてきました。夫の裏切りや娘たちの葛藤を目の当たりにし、家族の柱としてどうあるべきかを問われます。
それぞれの視点から描かれるストーリーは、家族の絆や愛憎が交錯しながら、複雑に絡み合う人間関係を浮き彫りにします。そして、竹沢家の家族たちは、自分たちの幸せとは何か、家族とはどのような形であるべきかを模索していきます。
父の愛人問題が家族の再生を導くきっかけとなるのか、それとも決定的な破綻を招くのか。多くの秘密が暴かれる中で、四姉妹と家族全員が最後に選び取る答えとは――。視聴者の心を深く揺さぶるドラマチックな展開が待ち受けています。
この物語は、家族というテーマに真摯に向き合い、私たち自身の家族観や生き方を問い直すきっかけを与えてくれるでしょう。
私の感想
『阿修羅のごとく』を見て、家族ってやっぱり複雑だなぁと改めて感じました。正直、向田邦子さんの原作は読んだことがなくて、「どんな話なんだろう?」くらいの軽い気持ちで視聴を始めたんですが、最初の数分で完全に引き込まれました。向田さんが描く人間関係の奥深さと、是枝裕和監督の繊細な演出が合わさって、「すごいものを見てしまった…」と唸らされる作品でした。
何より印象に残ったのは、四姉妹それぞれのキャラクターのリアルさ。特に三女の滝子が父親の不倫を冷静に調査しながらも、心の奥では揺れ動く姿にはグッときました。「家族に冷静でいようとするけど、自分だって悩んでるじゃん」っていうあの矛盾、すごく共感できるんです。一方で四女の咲子が自由奔放に見えながらも、自分の居場所を探して葛藤する様子も胸に刺さりました。
母親のふじさんもまた印象的でした。表面的には静かで、何も言わないように見えるけど、その沈黙の中に全部を見透かしている感じがあって、これが「家族の母」なんだなぁとしみじみしました。
原作を知らない私でも、ドラマの中の家族像や関係性がすごくリアルに感じられたのは、やっぱり是枝監督の細やかな演出のおかげだと思います。例えば、四姉妹が集まる食卓のシーン。言葉は少ないけど、ちょっとした沈黙や表情に「これ、うちの家族にもあるわ…」と妙に共感してしまいました。派手な演出はないけど、だからこそ心に響くんですよね。
それにしても、「家族って何なんだろう」って深く考えさせられる作品でした。正直、普段は家族についてあまり意識しないんですが、このドラマを見た後は、なんだか家族みんなに感謝の言葉を伝えたくなりました。向田邦子さんの原作を知らない私でもここまで感動できたので、ファンの人たちはきっともっと深い楽しみ方ができるんだろうなぁと思います。
『阿修羅のごとく』は、家族や人間関係に対する価値観をそっと揺さぶってくれる作品。重くなりすぎず、でも心にしっかり残る、そんな素敵なドラマでした。向田邦子さんの原作にも興味が湧いたので、これを機に読んでみようかなと思いました。
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