連続ドラマW『ポイズンドーター・ホーリーマザー』レビュー
🎬 イントロダクション
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』は、湊かなえによる短編ミステリー小説集を原作としたWOWOWのオムニバスドラマです。母と娘、姉妹、友人、恋人など、さまざまな人間関係の中で生まれる愛と毒を描き出し、視聴者の心を深く揺さぶります。登場人物たちの複雑な心理描写と予想外の展開が魅力の作品です。
📚 作品情報
- 原作:湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(光文社)
- 放送局:WOWOWプライム「連続ドラマW」枠
- 放送期間:2019年7月6日~8月10日(全6話)
- 監督:吉田康弘、滝本憲吾
- 脚本:清水友佳子、吉川菜美、藤澤浩和
- 音楽:きだしゅんすけ、池永正二
- ジャンル:ミステリー、ヒューマンドラマ
- 配信:WOWOWオンデマンド、Netflixなど
🎭 キャスト紹介
各話ごとに異なる主人公が登場し、多彩なキャストが物語を彩ります。以下は主なキャストの一部です。
- 第1話「ポイズンドーター」/第2話「ホーリーマザー」
- 藤吉佳香:寺島しのぶ
- 藤吉弓香:足立梨花
- 野上理穂:山下リオ
- 第3話「罪深き女」
- 天野幸奈:清原果耶
- 黒田正幸:髙橋優斗(HiHi Jets)
- 第4話「ベストフレンド」
- 涼香:中村ゆり
- 大豆田薫子:山田真歩
- 第5話「優しい人」
- 樋口明日実:倉科カナ
- 奥山友彦:浜野謙太
- 第6話「マイディアレスト」
- 淑子:伊藤歩
- 寺崎有紗:佐津川愛美

🔪第1話「ポイズンドーター」
藤吉弓香(足立梨花)は、今をときめく若手女優。順風満帆に見える彼女だが、その裏には常に“毒親”である母・佳香(寺島しのぶ)の存在があった。
「あなたのためなのよ」と押しつける母の“善意”は、弓香の人生を徐々に侵食していた。ある日、テレビ番組の収録で、ついに感情が爆発する弓香。彼女の告白に、スタジオ中が凍りつく――。
善意に見える“毒”の正体とは?
母親からの「愛」は、子どもにとって癒しか、それとも呪いか?
弓香が見出した、母との決別の一手とは…。
🕊第2話「ホーリーマザー」
視点は変わり、弓香の親友・理穂(山下リオ)から見た物語。
理穂にとって、佳香は「聖母」のような存在だった。優しく、厳しく、そして弓香を正しく導いている…と思っていた。だが、弓香と佳香の確執を知るにつれ、理穂の中で“完璧な母”のイメージが崩れていく。
一人の母を複数の視点で見るとき、真実はどう映るのか?
他人の家庭の「理想像」が、音を立てて崩れ去る様は、静かで残酷。
🕊第3話「罪深き女」
過去の殺人事件の報道に、天野幸奈(清原果耶)の胸がざわついた。
犯人・正幸(髙橋優斗)は、かつて同じアパートに住んでいた幼なじみ。幼いころの“ある出来事”が、彼を壊したのではないかという罪悪感にさいなまれた幸奈は、警察に自ら足を運ぶ。
しかし、彼女の中の記憶は曖昧で、真実もまた揺らいでいた。
本当に人を壊すのは、「誰」なのか?
罪悪感の深さと、記憶の不確かさが観る者に問いを投げかける。
🥀第4話「ベストフレンド」
脚本家・涼香(中村ゆり)は、長年一緒に夢を追ってきた親友・薫子(山田真歩)に“負けた”。脚本コンクールで最優秀賞を受賞したのは、自分ではなく薫子だったのだ。
涼香は表面上は祝福しながらも、内心は嫉妬と屈辱に震えていた。そしてある日、2人の間に決定的な“事件”が起こる――。
友情と嫉妬の境界線はどこにあるのか?
「親友」という言葉ほど、時に人の心を傷つけるものはない。
🌸第5話「優しい人」
誰にでも優しくて、トラブルを起こさず、愛想よく振る舞う明日実(倉科カナ)。
彼女は周囲から「いい人」と評されてきたが、実はその“優しさ”が自分を苦しめていた。何をしても報われない。人に尽くしても理解されない。
そんなある日、ふとしたことで彼女の“仮面”が剥がれはじめる。
「優しさ」は誰のためのもの?
人の顔色を見て生きることに、果たして意味はあるのか?
💔第6話「マイディアレスト」
ある女性・淑子(伊藤歩)の妹・有紗(佐津川愛美)が、突然自死した。
彼女の遺した日記には、家族には言えなかった苦しみが綴られていた。
妹を理解できなかった自分。家族という“逃げ場のない関係”の中で、互いに見て見ぬふりをしてきた現実に、淑子は向き合っていく。
愛していたのに、なぜ気づけなかったのか?
残された者の苦しみと、許されない悔いが胸を締めつける最終話。
🌿私の感想
湊かなえ原作ってだけでちょっと心の準備が必要だったんですが…やっぱり来ました、「イヤ〜な感じ」、でもそれがクセになる!
WOWOWドラマ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』は、1話ごとに違う人物たちの**人間関係の“毒”と“愛”**が描かれていて、どれも見ごたえ抜群でした。
まず第1話と第2話、これはもう寺島しのぶさんの“ザ・毒母”演技が圧巻すぎて震えます。その圧に押しつぶされそうになりながらも、娘・弓香が番組中に爆発するシーンは思わず「言ったー!」と拍手したくなるほど爽快。でもその裏側を見る第2話では、視点が変わることで「え、あの母親…本当に悪者なの?」って一気に揺らがされる構成、見事でした。
個人的にグッときたのは第3話。清原果耶さん演じる少女の、記憶と罪悪感に翻弄される姿が切なすぎて…。人って、自分を守るために記憶を書き換えるんだなあ…と静かに深いため息が出ました。
あと、「優しさ」がテーマの第5話は刺さりましたね。良い人ぶって生きるって、こんなにしんどいんだと。倉科カナさんの表情、ほんとリアルすぎました。
全6話、それぞれにテーマがあって、どこかで誰かに自分を重ねちゃう。“毒”って聞くと怖そうに思えるけど、誰の中にもある小さな闇やズルさが描かれてるから、すごくリアルで見応えがあるんです。
観終わった後はちょっと心がざわざわ。でもそれこそが湊かなえ作品の醍醐味。
「ただのサスペンスじゃない、“心に刺さるミステリー”を観たい」って方には全力でおすすめです!

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