映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』レビュー
イントロダクション
もしも徳川家康が総理大臣になったら』(2024年公開)は、「歴史上の偉人たちが現代に蘇って内閣を組んだら?」という大胆な設定のコメディ・エンタテインメント作品です。
舞台は2020年、世界がコロナ禍に揺れる日本。政府が最後の手段として、AIやホログラム技術を駆使して“最強の偉人内閣”を召喚するという、いかにもぶっ飛んだけれども観る者をワクワクさせる発想。
監督には 武内英樹(『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』)、脚本には 徳永友一(『翔んで埼玉』脚本)と、エンタメ演出の実績ある布陣が揃っています。
「こんな内閣、待っていた――」というキャッチコピーの通り、老若男女が楽しめる“お祭りムービー”的なノリもありますが、その裏に “現代社会・政治”への問いも垣間見えます。
作品情報
- 作品名:もしも徳川家康が総理大臣になったら
- 公開日:2024年7月26日
- 監督:武内英樹(『テルマエ・ロマエ』『のだめカンタービレ』)
- 脚本:徳永友一(『翔んで埼玉』『ルパンの娘』)
- 原作:眞邊明人 著『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(サンマーク出版)
- 出演:野村萬斎、浜辺美波、赤楚衛二、GACKT、竹中直人、江口のりこ ほか
- 音楽:Face 2 fAKE
- 配給:東宝
- 上映時間:110分
- ジャンル:歴史×政治×コメディ/SFエンタメ
現代日本に蘇った歴史上の偉人たちが、国難を救うために「最強内閣」を組織する——そんな壮大でユーモラスな“もしも”を描く痛快エンターテインメント映画。
🎬 キャスト紹介
| 役名 | 登場人物の説明 | 演じる俳優 |
|---|---|---|
| 徳川 家康 | 日本の初代将軍。AI技術で現代に蘇り、総理大臣として“最強内閣”を率いる。沈着冷静で理想のリーダー像を体現。 | 野村 萬斎 |
| 西村 理沙 | 若手テレビ局員。偉人内閣を取材する中で、政治の裏に潜む真実に気づいていく現代の語り部。 | 浜辺 美波 |
| 坂本 龍馬 | 内閣官房長官。自由奔放で信念を貫く改革派。理沙との会話に人間味が滲む。 | 赤楚 衛二 |
| 織田 信長 | 経済産業大臣。圧倒的なカリスマと破壊力で、旧体制を次々に改革。 | GACKT(ガクト) |
| 豊臣 秀吉 | 財務大臣。人たらしの天才で、数字よりも“人の心”を読むタイプ。 | 竹中 直人 |
| 紫式部 | 文部科学大臣。文学的感性を活かして教育改革を推進。 | 観月 ありさ |
| 聖徳太子 | 外務大臣。冷静な外交手腕を見せる多言語使い。 | 池田 鉄洋 |
| 西郷 隆盛 | 防衛大臣。力強くも情に厚い、国民思いのリーダー。 | 髙嶋 政宏 |
| 明智 光秀 | 秘書官。信長との微妙な関係が再び…? | 小手 伸也 |
| 芥川 龍之介 | 広報担当。理沙とメディアの橋渡し役となる知性派。 | 長井 短 |
| 官邸職員 ほか | 政府を支える現代人たち。偉人たちの暴走を止める日々に奔走。 | 江口 のりこ ほか |
あらすじ
2020年、日本は未曽有の危機に直面していた。感染症の拡大、経済の停滞、そして国民の不安と不信――政治の機能は麻痺し、ついには総理大臣が急逝。国の舵を取る者を失った日本は、混乱のどん底に落ちていった。
そんな絶望の中、政府が最後の希望として導入したのが、AIとホログラム技術を組み合わせた前代未聞のプロジェクト。歴史上の偉人たちを現代によみがえらせ、“最強の内閣”を組閣するというものだった。
こうして誕生したのが――「偉人ジャーズ内閣」。
総理大臣には、戦国の覇者・徳川家康(野村萬斎)。沈着冷静な判断力と統治の哲学で、混迷する国を再建しようとする。
官房長官には、自由と改革の象徴・坂本龍馬(赤楚衛二)。軽やかな言葉と信念で、国民の心を掴む。
さらに、経済産業大臣には大胆な発想の持ち主・織田信長(GACKT)、財務大臣には人たらしの天才・豊臣秀吉(竹中直人)と、誰もが知る名将たちが次々と入閣。教育には紫式部(観月ありさ)、外交には**聖徳太子(池田鉄洋)**など、歴史教科書の人物たちが現代政治を動かし始める。
最初、国民はこの突飛な「偉人内閣」に半信半疑だった。しかし、家康の現実的かつ長期的な政策、信長の改革、秀吉の人心掌握術が次々と功を奏し、経済は回復。内閣支持率は急上昇し、メディアは「奇跡のリーダー誕生」と熱狂する。
そんな中、テレビ局の新人記者・**西村理沙(浜辺美波)**は、この偉人内閣の取材を任される。最初は興味半分で取材を続けていたが、やがて“何かがおかしい”と感じ始める。政策発表のタイミング、偉人たちの行動、そして彼らを操るような影の存在…。理沙の直感が警鐘を鳴らす。
取材を進めるうちに理沙は、龍馬と信頼関係を築きながら、偉人たちの本当の目的と、このプロジェクトの裏に隠された真実に近づいていく。そこには、国家再生を掲げながらも、AI技術によって「理想のリーダー像」を人工的に作り出そうとする危うい思想が潜んでいた。
果たして、家康たちは本当に“自分の意志”で日本を動かしているのか?
それとも、誰かの手によって“操作されている”のか――。
やがて理沙は、家康が掲げる「国を守るとは何か」という問いの本質に触れる。
力で統治するのか、信念で導くのか。現代日本が抱える矛盾と、歴史が語る知恵が交錯する中で、彼女は報道記者としての使命を見つめ直していく。
そして迎えるクライマックス――
徳川家康の演説が、静まり返った国会議事堂に響く。
「民のために耐え、民のために決断する。それがこの国の礎となるのだ」
その言葉は、単なる歴史上の人物のセリフではなく、今を生きる私たちへのメッセージとして心に刻まれる。
私の感想
いや〜、まずこの映画の発想が最高ですよね。「もしも徳川家康が総理大臣になったら」ってタイトルの時点でツッコミ待ち…笑
でも観てみると、ちゃんと政治ドラマしてて、楽しめました。
家康役に野村萬斎って…もう期待値マックス。あの静かな存在感が“総理大臣家康”っていう設定に妙にピッタリなのもニクい。
一方で、赤楚衛二さん演じる坂本龍馬の軽やかさや、GACKTさんの織田信長の破天荒っぷり、竹中直人さんの秀吉のちゃっかり感も絶妙で、「このメンツが会議してたら絶対観たい!」って思いました。
そしてふと、観ながら思ったんです――
「もし本当に今の日本でこの布陣の内閣が誕生したらどうなるんだろう?」 って。
家康が冷静に国をまとめ、信長が旧体制をぶっ壊し、秀吉が現場を動かし、龍馬が国民と直接対話して…
たぶん混乱は起きるけど、今の政治にない“ワクワク感”や“スピード感”が出る気がします…笑
でも同時に、理沙(浜辺美波)の視点から見ると、あの完璧すぎるチームにも裏があって、「誰が本当にこの国を動かしてるの?」っていう怖さもリアルでした。
映像的にもテンポが良くて、シリアスになりすぎず、かといって軽すぎもしない。
『翔んで埼玉』の脚本家×『テルマエ・ロマエ』の監督って聞いて納得。エンタメとしての完成度が高い。
終盤の家康の演説シーンでは、ふっと静かに“政治とは、リーダーとは”というテーマが浮かび上がってきて、ちょっと鳥肌。
「勝つために耐える」という家康の信念が、コロナ禍を経験した今の私たちにどこか刺さるんですよね。
まとめ
『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は、歴史上の偉人たちが現代の政治を動かすという突飛な設定ながら、意外なほど現実味とメッセージ性がある映画でした。
家康・信長・秀吉・龍馬といった人物が現代日本の政治を担う姿は、単なるコメディを超えて「リーダーとは何か」「理想の統治とは何か」を問う内容になっています。
もし本当にこの布陣が今の日本で実現したら――
少なくとも、国会中継の視聴率は爆上がりしそうです(笑)。でも同時に、誰もが心のどこかで「この人たちなら何とかしてくれそう」と思えるのも事実。
そう感じさせるのは、彼らが“理想”を背負い、“信念”で行動していた歴史の人たちだからこそ。
エンタメとしても、社会風刺としても完成度が高く、笑えて考えさせられる。
観終わったあとにはきっと、「リーダーの言葉が国を変える」――そんな当たり前のことを改めて実感できるはずです。
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