映画『サブスタンス』感想|美しさに執着した先で人はどこまで壊れるのか
「若さ」「美」「承認欲求」
誰もが一度は考えたことのあるテーマを、ここまで露骨で気持ち悪い形で突きつけてくる映画は久しぶりだと思う。
**サブスタンス**は、単なるホラーではない。
観終わったあとに残るのは怖さよりも、「自分にも刺さる嫌な感覚」だった。
作品情報
- 原題:The Substance
- 公開年:2024年
- ジャンル:ボディホラー/サイコロジカルスリラー
- 主演:デミ・ムーア
ネタバレなしあらすじ|「若さ」を買えるとしたら?
年齢とともに仕事も評価も失っていく女性が、
“理想の自分を生み出す薬=サブスタンス”の存在を知る。
若く、完璧で、誰からも求められる「もう一人の自分」。
ただし、その代償は決して軽いものではなかった。
物語自体はシンプルだが、
この映画の本質はストーリーより描写にある。
正直な感想|気持ち悪い。でも目を逸らせない
正直に言うと、観ていてかなり不快なシーンは多い。
ただ、その不快さは「ただのグロ」では終わらない。
美しさを保とうとする必死さや、
老いを拒絶する感情を身体そのもので表現していて、
見ている側も否応なく巻き込まれる。
「わかる気がする…」
そう思ってしまう瞬間があるのが、この映画の一番怖いところだ。
サブスタンスは本当にグロい?正直どこまで耐えられる?
結論から言うと、
しっかりグロいです。しかもジワジワ系。
血が大量に噴き出すタイプというより、
- 肉体の変化
- 皮膚・身体への執着
- 見たくない“変質していく過程”
を、**逃げ場なく見せてくるタイプのグロさ。
「一瞬だけ目を閉じればOK」ではなく、
見続けさせられる不快感が続くので、耐性がない人はかなりきついと思う。
ただし、
このグロ描写はただの悪趣味ではなく、
「美しさに取り憑かれた人間の末路」を表現するために必要なもの。
意味のないグロが苦手な人には厳しいが、
テーマ込みで受け止められる人なら、
むしろ強烈に記憶に残るはず。
デミ・ムーアの演技が凄すぎる
この映画が成立している最大の理由は、
デミ・ムーアの覚悟レベルの演技だと思う。
若さを失う恐怖、
必要とされなくなる焦り、
それでも美しくありたいという執念。
セリフ以上に、
表情と身体で全部語ってくる。
正直「ここまでやるのか…」と引くが、
その本気さがあるから、この映画は薄っぺらくならない。
この映画が刺さる人・刺さらない人
刺さる人
- 若さや見た目に一度でも悩んだことがある
- ボディホラーや考察系映画が好き
- 観たあとに余韻が残る作品を求めている
刺さらない人
- スカッとする娯楽映画を求めている
- グロ描写が本当に苦手
- わかりやすい起承転結が好き
まとめ|軽くは勧めない。でも忘れられない
正直、
「面白かった!」と気軽に言える映画ではない。
ただ、
観たあとにずっと引っかかる映画なのは間違いない。
年齢や価値、
“理想の自分”について少しでも考えたことがあるなら、
この映画はかなり深く刺さると思う。
よくある疑問|『サブスタンス』は怖い?つまらない?
Q1. サブスタンスは怖い映画ですか?
怖いです。ただし、
いわゆるホラー的な「驚かせる怖さ」ではありません。
幽霊やジャンプスケアよりも、
・身体が変わっていく不快感
・自分を失っていく精神的な怖さ
が中心です。
見終わったあとに
「うわ…ちょっとキツいな」と余韻が残るタイプの怖さなので、
じわじわ来る系が苦手な人は注意した方がいいと思います。
Q2. グロいのが苦手でも観られますか?
正直に言うと、
グロ耐性が低い人にはおすすめしにくいです。
ただし、
血が飛び散るだけのスプラッターではなく、
「身体への執着」「変質していく過程」を見せるタイプなので、
意味のあるグロなら大丈夫という人には刺さる可能性があります。
「ただ気持ち悪いだけの映画」が苦手な人は、
少し覚悟して観た方がいいです。
Q3. 正直、つまらないという評価も見ますが?
これは好みがかなり分かれる映画だと思います。
つまらないと感じる人の多くは、
- 展開がゆっくり
- 説明が少ない
- スッキリ終わらない
このあたりが合わないパターン。
逆に、
- メッセージ性
- 不快さ込みの表現
- 考察できる余白
が好きな人には、かなり評価が高くなりやすい作品です。
Q4. どんな人なら最後まで楽しめますか?
- 若さ・見た目・承認欲求にテーマ的に興味がある
- 観たあとに考えさせられる映画が好き
- ブラックスワンやRAW系が刺さった人
こういうタイプの人なら、
「キツいけど観てよかった」と感じる可能性が高いと思います。
Q5. 結局、観る価値はありますか?
万人向けではありません。
ただ、刺さる人には強烈に残る映画です。
軽く楽しみたい日には向かないけど、
「たまには胃にくる映画を観たい」
そんな気分のときなら、かなり記憶に残る一本になると思います。
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