映画『バッド・ジーニアス』レビュー:スリルと社会問題が交差するタイの傑作サスペンス

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映画『バッド・ジーニアス』レビュー

イントロダクション

『バッド・ジーニアス』は、2017年にタイで公開されたサスペンススリラー映画で、監督はナタウット・プーンピリヤが務めています。この映画は、タイ国内外で非常に高い評価を受け、多数の映画祭で賞を受賞した作品です。学業に優れた高校生が、試験不正を通じて巨額の金を稼ぐという異色の「強盗」映画とも言えます。

キャスト

  • リン役:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
  • バンク役:チャーノン・サンティナトーンクン
  • グレース役:イッサヤー・ホースワン
  • パット役:ティーラドン・スパパンピンヨー
  • リンの父親役:タネート・ワラークンヌクロ

あらすじ

主人公のリンは非常に優秀な高校生で、名門校への奨学金を獲得しています。しかし、彼女の友人であるグレースが試験に合格できず、リンは彼女を助けるために試験中にカンニングを行います。この成功により、リンは他の友人たちからも試験での不正を求められるようになり、次第に大規模なカンニングビジネスを展開していきます。最終的にリンは、国際的な試験での不正を計画しますが、計画は複雑化し、彼女自身の将来に深刻な影響を及ぼすことになります。

評価

『バッド・ジーニアス』は、その緊張感あふれるストーリーテリングと、試験不正という日常的なテーマをスリリングな形で描き出した点が高く評価されています。特に、試験中のシーンで見せるカメラワークや編集の巧みさが、多くの視聴者を引き込んでいます。また、タイの教育制度の腐敗や貧困といった社会問題を背景に描きながら、登場人物たちの人間関係や心理描写にも深みを持たせています。

私の感想

『バッド・ジーニアス』は、スリリングな展開で最後まで目が離せない映画でしたが、それ以上に心に残ったのは、主人公リンの葛藤や成長の過程でした。リンが直面する状況や選択は、私たちが日常で感じるプレッシャーや誘惑と重なる部分が多く、彼女の物語に自然と引き込まれました。

特に印象的だったのは、リンが最初は単に友人を助けるために始めた行動が、次第に大きなリスクを伴うものになっていく過程です。その中で彼女が感じる焦りや後悔、そして最後にたどり着く結論は、誰しもが一度は考えさせられるテーマです。彼女が自分の行動に責任を持ち、最終的に何を選ぶかという点が、この映画の深みを増していると感じました。

また、映画の中で描かれるタイの教育制度や社会の問題も、リンの物語を通して身近に感じられました。特に、彼女が抱える経済的なプレッシャーや、その中で何とかして自分の未来を切り開こうとする姿勢には共感を覚えます。結末に関しては、「やっぱりそうか」と感じる一方で、もう少し彼女の心情に寄り添った描写があってもよかったかなと思う部分もありました。

全体として、『バッド・ジーニアス』は、エンターテインメント性と社会的メッセージが見事に融合した作品であり、観終わった後に色々と考えさせられる映画でした。タイ映画の新しい一面を見せてくれたこの作品は、確かに国際的に高く評価されるだけの魅力を持っていると感じました。

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