北野武『Broken Rage』レビュー
北野武監督の最新作『Broken Rage』が、2025年2月14日よりAmazonプライム・ビデオで独占配信されています。本作は「暴力映画におけるお笑い」をテーマに、前半はシリアスなクライムアクション、後半は同じ物語をコメディタッチで描くという斬新な二部構成が特徴です。
作品情報
- 監督・脚本・主演:北野武(ビートたけし)
- 共演:浅野忠信、大森南朋、仁科貴、宇野祥平、國本鍾建、馬場園梓、長谷川雅紀(錦鯉)、矢野聖人、佳久創、前田志良(ビコーン!)、秋山準、鈴木もぐら(空気階段)、劇団ひとり、白竜、中村獅童
- 音楽:清塚信也
- 配信開始日:2025年2月14日
- 配信プラットフォーム:Amazonプライム・ビデオ
キャスト紹介
- ねずみ(主人公の殺し屋):ビートたけし
- 井上刑事:浅野忠信
- 福田刑事:大森南朋
- 金城組長:中村獅童
- 富田猛(若頭):白竜
- 謎の司会者:劇団ひとり
あらすじ
物語の主人公は、“ねずみ”と呼ばれる凄腕の殺し屋(ビートたけし)。彼は寡黙で冷徹、仕事には一切の感情を持ち込まないプロフェッショナルだ。彼のもとには、喫茶店のマスター・吉田(宇野祥平)を介してさまざまな殺しの依頼が舞い込む。ターゲットを淡々と処理していく彼の日常は、ある日を境に大きく変わる。
ある殺人を実行した際、偶然その現場を目撃していたホステス・沙織(馬場園梓)が警察に証言し、ねずみは逮捕されてしまう。担当するのは、刑事の井上(浅野忠信)と福田(大森南朋)。二人はねずみにある提案を持ちかける。それは、「麻薬密売組織への潜入捜査官として動けば、罪を見逃してやる」というものだった。
ねずみは最初こそ拒否するが、組織に殺されるか警察の取引に応じるかの二択を迫られ、渋々この提案を受けることに。彼は裏社会に潜入し、金城組長(中村獅童)率いる極道組織の内部に入り込んでいく。金城の右腕である富田猛(白竜)は警戒心が強く、ねずみを信用しない。しかし、組織の仕事を淡々とこなすうちに次第にその腕前を認められ、ねずみは組織の中枢へと近づいていく。
一方で、警察の井上と福田は、ねずみを駒として使いながらも、自身の保身や組織との関係を考え始め、捜査の方針を迷い始める。そんな中、ねずみはある極秘情報を手に入れる。それは、警察内部の誰かが金城組に情報を流しており、組織と繋がっている“内通者”が存在するというものだった。
果たして、ねずみは警察と組織の間で生き残ることができるのか? 彼が最後に選ぶ道とは? そして、映画後半には驚くべき仕掛けが用意されている――。
映画は前半と後半でまったく異なるトーンを持ち、前半はハードボイルドなクライムアクション、後半は同じストーリーをコメディタッチで描くという斬新な構成が特徴だ。これは、北野武監督が「暴力映画における笑いとは何か?」を追求した結果生まれた、まさに実験的な作品となっている。
この予測不能な展開こそが、本作の最大の見どころといえる。
私の感想
『Broken Rage』は、北野武監督ならではの独特な作品でした。前半のシリアスなクライムアクションは、『アウトレイジ』シリーズを彷彿とさせる緊張感があり、特にねずみの冷徹なプロフェッショナリズムが印象的でした。しかし、後半に入ると一転してコメディタッチになり、同じストーリーがパロディ的に描かれる展開には驚かされました。この大胆な構成は賛否を呼ぶかもしれませんが、北野監督の新たな挑戦として興味深く鑑賞しました。キャスト陣も豪華で、浅野忠信さんや大森南朋さんの刑事コンビがいい味を出していました。特に浅野さんのちょっとクセのある演技が、この作品の独特な世界観にピッタリ。中村獅童さんや白竜さんの極道っぷりも迫力満点で、観ているだけでゾクゾクしました。全体として、北野武監督の新境地を感じる作品であり、映画の新しい可能性を探る意欲作だと感じました。
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