『ユーフォリア/EUPHORIA シーズン1』レビュー
🌟 イントロダクション
『ユーフォリア / EUPHORIA シーズン1』(全8話、2019年6月〜8月放送)は、薬物依存、セクシャリティ、SNS、愛と喪失などをリアルかつスタイリッシュに描いた衝撃作。スラムダンクのように「美しさと苦悩」が交錯する世界観、そしてズ・ミュージック的ビジュアルは、観る者を乾いた幸福感と混乱の渦へと引き込む。
🎬 作品情報
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | ユーフォリア/EUPHORIA シーズン1 |
原題 | Euphoria |
放送局 | HBO(米国) |
初回放送 | 2019年6月16日〜8月4日(全8話) |
日本配信 | U-NEXT(HBO作品として配信)など |
監督・脚本 | サム・レビンソン(Sam Levinson) |
原作 | イスラエルの同名ドラマ『Euphoria』(2012年) |
主演 | ゼンデイヤ(Zendaya) |
音楽 | ラブリンス(Labrinth)によるオリジナルスコア |
受賞歴 | 第72回エミー賞 主演女優賞(ゼンデイヤ)、他多数 |
ジャンル | 青春/社会派/心理ドラマ |
👥 キャスト紹介
俳優名(英語) | カタカナ読み | 役名 | キャラクター紹介 |
---|---|---|---|
Zendaya | ゼンデイヤ | Rue Bennett(ルー・ベネット) | 薬物依存からリハビリを終えて帰宅した17歳の少女。語り手として物語を牽引し、ゼンデイヤの繊細で圧巻の演技が光る。 |
Hunter Schafer | ハンター・シェイファー | Jules Vaughn(ジュールズ・ヴォーン) | トランスジェンダーの新入生。自由奔放かつ繊細で、ルーと特別な関係を築いていく。 |
Jacob Elordi | ジェイコブ・エロルディ | Nate Jacobs(ネイト・ジェイコブズ) | 表向きは完璧なアメフト青年だが、内面に暴力性とコンプレックスを抱える複雑な存在。 |
Alexa Demie | アレクサ・デミー | Maddy Perez(マディ・ペレス) | ネイトの元恋人で、強気な性格と繊細な心を併せ持つ。恋愛依存的な傾向も。 |
Sydney Sweeney | シドニー・スウィーニー | Cassie Howard(キャシー・ハワード) | マディの親友で、恋愛や性的な関係に翻弄される不安定な少女。家庭環境の影響もあり、自分を見失いがち。シドニーの演技力が高く評価された。 |
Maude Apatow | モード・アパトー | Lexi Howard(レクシー・ハワード) | キャシーの妹で、物静かで観察力に優れた良心的存在。ルーの幼なじみでもある。 |
Angus Cloud | アンガス・クラウド | Fezco(フェズコ) | 地元のドラッグディーラーだが、ルーを大切に思う心優しい青年。独特の存在感で人気急上昇。 |
Barbie Ferreira | バービー・フェレイラ | Kat Hernandez(キャット・ヘルナンデス) | オンラインで自分を表現することで自信を持ち始める少女。セクシャリティの目覚めと葛藤を描く。 |
Eric Dane | エリック・デイン | Cal Jacobs(カル・ジェイコブズ) | ネイトの父で表向きは模範的だが、裏では秘密を抱える問題人物。 |
📖 あらすじ
17歳の少女、ルー・ベネットは、ドラッグの過剰摂取による昏睡から奇跡的に目覚め、リハビリ施設を経て自宅に戻ってきた。しかし――**“人生を生きる理由”**をまだ見つけられず、心の奥にぽっかり空いた穴を埋めるように、再び薬に手を伸ばしてしまう。
そんなルーの前に現れたのが、ミステリアスで自由奔放な転校生、ジュールズ・ヴォーン。彼女の存在はルーの世界に鮮やかな色を灯し、次第にルーは彼女に強く惹かれていく。
けれど、ジュールズにもまた心に深い傷と秘密があり、2人の関係は友情、恋愛、依存…その境界を曖昧にしながら、互いを傷つけ合い、支え合っていく。
一方で、物語は2人だけにとどまらない。
表向きは優等生、でも内側に激しい怒りと性への葛藤を抱えるネイト・ジェイコブズ。
彼と複雑な関係を持つマディ・ペレスは、強気で華やかに振る舞う裏で、心の孤独と愛への執着に苦しんでいる。
その周囲では、性の目覚めに戸惑うキャシーや、自分の価値を“オンラインの自分”に見出そうとするキャット、静かに見守るレクシーなど、それぞれの“ユーフォリア(陶酔)”と“リアル”の狭間でもがく若者たちの姿が丁寧に描かれる。
スマホ、SNS、ポルノ文化、薬物、アイデンティティ、家庭崩壊――
現代のティーンエイジャーたちが直面する現実は、美しくも苦しく、刺激的で時に残酷。
けれど彼らは、そこに確かに**“愛”や“自分らしさ”を探している。**
視聴者は、そんな彼らの光と影に圧倒され、そしてどこかで自分自身の“かつて”を思い出すかもしれない。
🧠 考察:『ユーフォリア』が突きつける“リアル”とは?
① 「陶酔(ユーフォリア)」と「現実(リアリティ)」の対比
タイトルの“ユーフォリア(Euphoria)”とは、薬物や恋愛などによって得られる一時的な幸福感を指します。
ルーをはじめ、登場人物たちは皆、自分の心の隙間を埋めるために「何かに酔う」ことで現実逃避しています。
- ルーは薬物に
- ジュールズは理想の愛に
- ネイトは支配欲に
- キャシーは恋愛に
- キャットは性的承認に
それぞれが「満たされない現実」を覆い隠す“陶酔”に浸っているのです。
そしてそれが崩れた時に初めて、彼らは自分と向き合わざるを得ない状況に追い込まれる。
この物語は、“青春の逃避”と“自己の再構築”を容赦なく描いたドキュメンタリーに近いドラマだと言えます。
② “語り手が不安定”という視点の不確かさ
このドラマの面白さのひとつは、**語り手であるルーが「信頼できない存在」**であることです。
彼女の視点で描かれる映像は時に幻想的で、現実と幻覚の境界が曖昧。視聴者もまた、“ルーの世界”を通してしか物語を体験できないため、何が本当なのかを常に問いかけられます。
これは、「当事者にとってのリアルとは何か?」というメタ的な問いにも繋がっており、視点の主観性=人間の多様な真実を象徴していると考察できます。
③ トランスジェンダーやジェンダーアイデンティティへの挑戦
ジュールズはトランスジェンダーであり、その存在が特別に扱われるのではなく**“ひとりの人間として”自然に描かれている**ことも本作の先進性です。
彼女の存在がルーや他の人物に与える影響、そしてジュールズ自身が抱えるジェンダー的葛藤が、ドラマ全体の奥行きを深めています。
👀 見どころ:観る者の五感と感情を刺激する演出
🎨 1. ビジュアルと映像演出の美しさ
ネオンライト、グリッター、夢と幻覚が交差する映像は、まさに「視覚の詩」。
シーンごとに色使いが変わり、キャラクターの内面を表現しています。
特にエピソード4の**「カーニバルの夜」**は、視覚と音の演出が頂点に達した名シーン。
🎵 2. 音楽センスが神がかっている
ラブリンスによるオリジナルスコアはもちろん、フランク・オーシャンやビリー・アイリッシュなどの選曲も絶妙。
音楽が単なるBGMではなく、感情を“代弁”する語り手のように作用します。
💔 3. 10代の“痛み”をリアルに描いたセリフと演技
俳優陣の熱演が光る本作は、感情が生々しく伝わるセリフと表情の応酬が見どころ。
ゼンデイヤが涙ながらに過去を語る場面や、ネイトとマディの怒鳴り合いなど、胸に迫るシーンが多数あります。
🔍 総合的な魅力まとめ
見どころ | 説明 |
---|---|
映像美 | ネオン・グリッターを多用した幻想的なカメラワーク |
音楽 | ラブリンスを中心とした深く沁みるサウンドトラック |
演技力 | ゼンデイヤを筆頭に若手俳優陣の迫真の演技 |
社会テーマ | 薬物依存、ジェンダー、SNS、家庭崩壊など多岐にわたる |
心理描写 | キャラクターの“壊れそうな心”を丁寧に描写 |
💬 私の感想
正直なところ、観る前は「10代の青春ドラマか〜」ってちょっと舐めてました…。
でも、1話観た瞬間にそんな気持ちは吹き飛びました。
想像以上にエモくて、痛くて、美しくて、心を持ってかれるドラマでした。
まず、映像がほんっとに美しい!
ネオンカラーにグリッター、カメラワークも凝ってて、まるでミュージックビデオみたいな瞬間も多くて、ずーっと目が離せない。
そこに流れる音楽もまたずるい。ラブリンスのサントラが、感情を直撃してくる感じ。
演技陣も粒ぞろいで、特にゼンデイヤは「この人、本当に10代だったんじゃ…?」って思うくらい、ルーというキャラクターをリアルに体現してました。
ルーとジュールズの関係は美しくて儚くて、見てるだけで胸が締めつけられる…。
でもやっぱり、私はシドニー・スウィーニー演じるキャシーが良かったです。
最初は“ちょっと恋に振り回されがちな女の子”って感じだったんだけど、
話が進むにつれて、彼女の中にある**「ちゃんと愛されたい」「大事にされたい」っていう切実な思いがどんどん見えてきて**…。
あの不安そうな目とか、泣きそうなのに笑ってる表情とか、
もうシドニーの演技に毎回ぐっと引き込まれてました。
ドラマとしてはけっこう過激なシーンも多いんだけど、それってただショッキングにしたいわけじゃなくて、
「今の若者が実際に直面してる問題って、こういうことなんだよ」っていうリアルを突きつけてくる。
だからこそ、ちょっと重くても、どこかで“自分ごと”として観れてしまうんですよね。
観終わった後、「心がざわざわするけど、観てよかった」って素直に思えた作品です。
そして何より…シドニー・スウィーニーの凄さに目覚めました…笑
シーズン2も即チェック予定です!
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