Amazonプライムオリジナル映画『不都合な記憶』レビュー
イントロダクション
Amazonオリジナル『不都合な記憶』は、近未来の宇宙を舞台に展開されるSFサスペンスです。西暦2200年、科学技術の発展により人類の宇宙移住が進み、記憶操作まで可能になった時代を描いています。監督は『ある男』で知られる石川慶、SF脚本家ブラッド・ライトとのコラボにより、国際的な作品として完成しました。2024年9月27日からAmazonプライムビデオで独占配信される注目の映画です。
キャスト情報
- ナオキ: 伊藤英明 – 物語の中心となる夫。亡くなった妻の記憶に固執し、アンドロイドに頼って生き続ける。
- マユミ: 新木優子 – ナオキの妻であり、物語の鍵を握る存在。実は彼女はすでに亡くなっており、記憶としてしか存在しない。
- ジェブ: ジアッブ=ララナー・コーントラニン – ナオキに大きな影響を与えるミステリアスなタイ人女性。
あらすじ
『不都合な記憶』は、近未来の宇宙空間で繰り広げられる人間ドラマと心理サスペンスが融合した作品です。物語の中心は、宇宙コロニーで暮らすナオキ(伊藤英明)と、彼の亡き妻マユミ(新木優子)の記憶を巡る狂気的な愛です。ナオキは、愛する妻を失った現実を受け入れることができず、彼女の記憶をアンドロイドに移植し、彼女を現実に戻そうとします。彼は技術の力で妻との完璧な結婚生活を繰り返すことに固執し、記憶を操作することで、彼女との幸せな日々を「再生」し続けているのです。
しかし、この「完璧な」生活は次第に歪みを見せ始めます。ナオキの執着心が彼の精神を崩壊へと導き、現実と虚構の境界が曖昧になっていきます。特に、ナオキがマユミの記憶を何度も繰り返し操作し、自分の理想に合わせて変えていく過程で、彼の行動は次第にエスカレートしていきます。マユミの人格はただの記憶に過ぎず、彼女自身の意思や感情は反映されていないため、ナオキの行動は精神的な支配の一形態と言えるでしょう。
ナオキの孤独と狂気は、現実世界に戻れなくなるほど深まります。彼の周りの人々も、ナオキの異常な行動に気づき始め、彼が現実を受け入れられないことが、物語の核心に迫る緊張感を高めていきます。
一方、マユミの記憶だけが存在するという設定も、彼女のアイデンティティが単なる記憶の断片に過ぎないことを象徴しています。この点は、ナオキが「理想の妻」を追い求めるあまり、彼女を一方的に支配しようとする心理的な狂気を表現していると言えるでしょう。ナオキの愛情は一見純粋に見えますが、その本質は自己中心的で、彼の欲望によって全てがコントロールされているのです。
評価
私の感想
『不都合な記憶』を観て感じたのは、ナオキの歪んだ愛情が「ヤバい」の一言に尽きます。彼が亡くなった妻マユミを、アンドロイドで再現するところからもう不穏な雰囲気が漂っています。普通なら愛する人の死を受け入れて前に進むものなのに、ナオキは彼女を失った現実を認めず、過去に執着しすぎて完全に暴走しちゃってます。
ナオキは自分の理想通りの「完璧な妻」を作り出し、その記憶を何度も繰り返し操作するんですが、これってまさに相手をコントロールしてるようなもの。彼女に意思がないということをいいことに、自分勝手な欲望を満たすために、妻の人格や思いを無視してるんですよ。
さらに、ナオキの冷徹さもヤバすぎて怖いんです。マユミをただの「思い出」にしてしまい、感情を排除しているところが、サイコパスっぽいなと思いました。感情が欠落していて、相手に対する共感もゼロで、自分が支配したいだけ。これって、完全に危険人物です…笑。ドラマ全体を通して、彼が妻をどう扱っているのか見ていると、ただの愛情表現とはとても思えません。
最後に感じたのは、この作品が描いているテーマの奥深さです。愛情って素晴らしいものだけど、コントロールしすぎるとここまで恐ろしい結果を招くんだなと。未来の技術がどれだけ進んでも、人間の欲望や執着は変わらないし、それがむしろ悪化するかも…って考えさせられました。
登場人物が少ない分、感情の葛藤や心理的な駆け引きが濃厚に描かれており、その緊張感が最後まで持続します。映像も綺麗くて良作でした。
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