映画『グランメゾン・パリ』感想
まず結論:この映画、腹も減るけど“背筋”が伸びる
『グランメゾン・パリ』は、料理が美味そうなだけの映画じゃないです。
むしろ本体は、プライド高めの大人が、現場でぶつかり合って、ギリギリで店を回す“仕事の修羅場”。
パリで三つ星を目指すって、言葉だけ聞くとキラキラなんだけど、やってることはほぼ毎日が審査。
胃袋は刺激されるのに、心はヒリヒリする。…この感覚がクセになります。
作品情報
- 公開:2024年12月30日
- 監督:塚原あゆ子/脚本:黒岩勉
- 料理監修:小林圭(Restaurant KEI)
- 主演:木村拓哉(尾花夏樹)/鈴木京香(早見倫子)
- 出演:オク・テギョン、正門良規、玉森裕太、寛一郎、吉谷彩子、中村アン、冨永愛、及川光博、沢村一樹 ほか
あらすじ(ネタバレなし)
尾花夏樹と早見倫子は、フランス料理の本場・パリで新店舗「グランメゾン・パリ」を立ち上げ、アジア人初のミシュラン“三つ星”を狙いにいく。
ただ、異国の地のルール、食材、評価、プライド…全部が重い。結果が出ない焦りの中、尾花は「三つ星を取れなければ…」という覚悟を背負うことになり、店もチームもギリギリの方向に振れていく。
ネタバレなし感想|良かったところ
1)料理シーンが“うまい”。映像も音も、反則級
包丁、火、ソース、盛り付け…全部が「おいしそう」だけで終わらず、“勝負の武器”として画面に立ってる。
料理が綺麗=作品が良い、って単純な話じゃないのに、この映画は料理の説得力がそのままドラマの緊張感に繋がってるのが強い。
2)パリが“オシャレ背景”じゃなくて、ちゃんと敵
パリって映える。映えるんだけど、今作のパリは優しくない。
本場の圧、歴史、プライドの壁が、ずっと空気に混ざってる。
「夢の舞台」っていうより、“結果出せなきゃ消える場所”として描くから、仕事映画として刺さります。
3)チームの衝突がリアル。綺麗事の仲良しじゃ回らない
このシリーズの気持ちよさって、結局ここ。
能力も癖も強い大人が、ぶつかって、空気が最悪になって、それでも“同じ星”を見て戻ってくる。
喧嘩が感動のための都合良いイベントじゃなくて、現場の嫌な温度としてちゃんと痛いのが良い。
ここは好みが分かれそう(正直ポイント)
- 熱量が高いぶん、クールな料理映画を期待すると「暑い!」ってなるかも。
- ドラマを観ている人ほど入りやすい作りなので、未視聴だと人間関係が少し駆け足に感じる瞬間はあると思う(それでも大筋は追える)。
ドラマ未見でも楽しめる?
結論、楽しめます。
ただ、ドラマを観てると「この人たち、こういう積み重ねがあったよね」が最短で入るので、感情の立ち上がりが早い。
未見の人は「チームとしての歴史」を補完しながら観る感じになるので、刺さり方が少し違うと思います。
こんな人におすすめ/刺さらない人
刺さる人
- 仕事で心が擦れてる人(現場のヒリつきが“分かる…”になる)
- チームで何か作ってる人(営業でも制作でも現場でも)
- 料理映像で腹を空かせたい人
刺さらないかも
- 料理の優雅さだけを静かに楽しみたい人(熱量が強め)
- 人間関係の衝突が苦手な人(結構ぶつかる)
ここからネタバレあり
⚠️注意:ここ以降、結末のニュアンスまで触れます。
二つ星って勝ちなのに、なんでこんな苦しいんだよ問題
普通なら二つ星って、拍手で終わるはず。
でもこの映画、全然ご褒美扱いしない。むしろ二つ星があるからこそ、「次、取れなかったら終わり」の圧が店に染みる。
この“じわじわ空気が悪くなる感じ”が、やたらリアルで胃がキュッとなる。
尾花の弱点は才能じゃなくて「現場の扱い方」
尾花は天才。そこは揺るがない。
でも今作は、勝ちに急ぐほど、言葉が尖って、仲間を道具みたいに扱いかける。
能力ある人が、焦りで現場を壊す瞬間って、こういう空気なんよな…って、地味に心が痛い。
早見倫子が“受け止め役”じゃなく、普通に戦闘員になってるのが良い
今作の早見、めちゃくちゃ強い。
支えるだけじゃなくて、決断する。ラインを引く。
尾花の夢を信じるのと同時に、店を守るために「それは違う」って言える。
この“引く強さ”が後半で効いてくるから、観終わった時の納得感が増す。
終盤のコースが「見せ場」じゃなく「答え」になってる
最後の料理は豪華なショーじゃなくて、テーマへの回答。
「本場で勝つ」ってどういうこと?
「国境を越える」ってどういうこと?
それを料理で答えてくるから、こっちの感情が“泣ける”より“納得で熱い”方向に上がるのが気持ちいい。
星の扱いがうまい。勝利だけで終わらせない
星を取ったらハッピー!で終われるのに、そうしない。
しんどい時間をちゃんと長めに見せて、落差を作って、最後の一皿を“報酬”にする。
だから、観終わったあとに残るのが達成感だけじゃなくて、ちょっとした寂しさ混じりの余韻になる。
キャスト表
| 役名 | キャスト | 立ち位置 | 個人的見どころ |
|---|---|---|---|
| 尾花夏樹 | 木村拓哉 | 勝負師の中心 | 焦りが出るほど危うい。そこが面白い |
| 早見倫子 | 鈴木京香 | 店の軸 | “優しさ”より“決断”が効く |
| リック・ユアン | オク・テギョン | 新戦力 | チームの温度差を増幅させるキーマン |
| 小暮佑 | 正門良規 | 若手 | 現場のリアル担当。空気の揺れが出る |
| 平古祥平 | 玉森裕太 | シェフ陣 | 割を食う役回りの苦さが刺さる |
| 芹田公一 | 寛一郎 | 部門シェフ | 技術と感情の板挟みが怖い |
| 松井萌絵 | 吉谷彩子 | パティシエ | 皿の“説得力”を上げる存在 |
| 久住栞奈 | 中村アン | ホール/サービス | 前線で空気を支えるのがカッコいい |
| リンダ・真知子・リシャール | 冨永愛 | キーパーソン | 登場で一気に緊張が締まる |
| 相沢瓶人 | 及川光博 | 重要人物 | “情”を差し込む役。余韻に効く |
| 京野陸太郎 | 沢村一樹 | 支柱 | 夢に現実を混ぜる役で物語が締まる |
まとめ|飯テロの顔した“現場の根性ドラマ”
『グランメゾン・パリ』は、料理が美味そうなだけじゃ終わらない。
仕事の泥臭さ、チームの衝突、焦りの醜さまで描くから、観てるこっちもヒリヒリする。
でもその分、最後の一皿がちゃんと報酬になる。腹も減るし、なぜか明日ちょっと頑張る気にもなる。
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