映画『ジョーカー』レビュー
イントロダクション
『ジョーカー』は、2019年に公開されたトッド・フィリップス監督のサイコスリラーで、バットマンの宿敵ジョーカーの起源を描いた作品です。この映画は、アーサー・フレックという心を病んだ男が、社会から疎外され、徐々に狂気に陥り、犯罪者「ジョーカー」へと変貌していく過程を描いています。ホアキン・フェニックスが主演を務め、その圧倒的な演技でアカデミー主演男優賞を受賞しました。この映画は単なるヒーロー映画ではなく、現代社会の疎外や不平等を鋭く描いた社会的メッセージが強い作品です。
キャスト情報
- ホアキン・フェニックス(アーサー・フレック / ジョーカー役)
- ロバート・デ・ニーロ(マレー・フランクリン役、アーサーの憧れのトークショー司会者)
- ザジー・ビーツ(ソフィー・デュモンド役、アーサーの隣人)
- フランセス・コンロイ(ペニー・フレック役、アーサーの母親)
- ブレット・カレン(トーマス・ウェイン役、ゴッサム市の富豪で市長候補)
あらすじ
アーサー・フレックはゴッサム市で孤独に生きるピエロであり、夢だったコメディアンとしての成功を追い求めるも、彼の人生は次々と失望と苦しみによって打ち砕かれていきます。精神的な病を抱え、日々の生活すら厳しい彼は、社会からも周囲からも冷たく扱われ、その存在は疎外され続けます。母親との複雑な関係も彼の心の闇を深め、アーサーは次第に自らの狂気に取り込まれていくのです。
ある日、地下鉄で暴行を受けたアーサーは、ついに反撃し、3人のサラリーマンを殺害してしまいます。この事件は彼の運命を大きく変え、ゴッサム市の貧困層と富裕層の間にくすぶる怒りが爆発し、ピエロの仮面をかぶった市民たちが暴動を起こすきっかけとなります。アーサーはその象徴的な存在となり、社会に対して抱く絶望感と憎悪がさらにエスカレートしていきます。
さらに、アーサーは自らの出自に関する衝撃的な真実を知ることになります。母親が彼の父親はゴッサム市の大富豪トーマス・ウェインであると信じていたことが発覚し、アーサーはその確かめに行くものの、ウェインとの対面がさらなる絶望をもたらします。自らが信じていたものが虚構であることに気づいたアーサーは、次第に現実から切り離され、自分自身を「ジョーカー」として完全に受け入れるようになります。
物語は、アーサーが大きな決断を下し、自らの人生を大きく変える舞台へと進んでいきます。彼が最終的に辿り着く運命とは?そして、彼がゴッサム市全体に与える衝撃とは?それは観る者の想像を超える展開で、あなたを驚愕のラストへと誘います。全てが明かされる瞬間、アーサー・フレックは果たしてどんな顔を見せるのか――それは、ぜひ映画で確かめてください。
評価・見どころ
私の感想
正直、『ジョーカー』を観たとき、胸にズシンとくるような重たい気持ちになりました。アーサーの境遇や社会からの冷たい扱いには同情せざるを得ないけど、その同情が次第に不安に変わっていく感じがすごく印象的でした。映画が進むにつれて、彼が自分の殻を破り、ジョーカーというキャラクターを完全に受け入れていく瞬間はゾクッとするほど強烈でした。ホアキン・フェニックスの演技はとにかく圧巻で、特に彼の笑い声が耳に残ります。
個人的には、アーサーが「これしかない!」と思い込んで自分の行動を正当化していく過程が怖かったですし、その過程が痛々しいほどリアルに描かれているのも見どころだと思います。それにしても、暴力シーンがかなりグロくてちょっと目を背けたくなるところも多かったです。映画としてはかなり重たいテーマを扱っていて、見る側に多くの考えを投げかけてくる作品だなという印象を受けました。
全体的に言うと、これはただのヴィランの物語ではなく、社会の不平等やメンタルヘルスについて深く考えさせられる映画です。観終わった後もしばらく余韻が残る、そんな作品でした。
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