映画『ロストケア』徹底レビュー|キャスト、あらすじ、感想を深掘り

目次

映画『ロストケア』レビュー

イントロダクション

映画『ロストケア』は、介護問題を題材にした社会派ドラマで、2023年に公開されました。この作品は、葉真中顕氏による同名小説を原作とし、松山ケンイチと長澤まさみが主演を務めています。監督は前田哲氏で、現代日本の介護問題に鋭く切り込み、感情を揺さぶるテーマを描いています。

キャスト詳細

  • 斯波宗典(松山ケンイチ):物語の中心人物であり、42人の高齢者を「救済」したと主張する介護職員。
  • 大友秀美(長澤まさみ):斯波を追及する検事であり、自身も介護に関する深い葛藤を抱えています。
  • 椎名幸太(鈴鹿央士):大友の助手として捜査を手伝う役割。
  • 大友の母親(藤田弓子):高級老人ホームに入居しているが、疎遠になった家族との関係が描かれます。

あらすじ

『ロストケア』は、介護施設で働く斯波宗典が、42人の高齢者を殺害した容疑で逮捕されることから物語が展開します。彼は、自身の行為を「殺人」ではなく「救済」であると主張します。その背景には、認知症の父親を介護する中で感じた深い苦しみと、社会の冷たさへの絶望がありました。

物語は、斯波の犯行とその動機を追及する検事・大友秀美が、彼の主張に次第に揺さぶられながらも、正義を貫こうと葛藤する姿を描きます。大友自身もまた、高級老人ホームに母親を預け、自分の父親とは長年疎遠になっていたという複雑な家族関係を抱えており、斯波の行動を通じて自分の過去と向き合うことになります​ 。

斯波の裁判を通じて、彼の行為が「救い」か「殺人」か、そして社会が抱える介護の問題にどう向き合うべきかを問いかける物語は、重いテーマを扱いながらも観客に深い印象を与える作品となっています​ 。

評価

『ロストケア』は、介護の現実とその過酷さを描く一方で、「救い」と「正義」というテーマを巡る深い問いかけを観客に投げかけます。しかし、原作の持つ社会的メッセージ性が映画ではやや希薄になったと感じる声もありました​ 。それでも、主演の松山ケンイチと長澤まさみの演技は高く評価されており、観客に強い印象を残す作品となっています​ 。

私の感想

『ロストケア』を鑑賞して、介護というテーマがこれほどまでに心に重くのしかかるとは思いませんでした。斯波宗典が語る「救済」としての行為は、一見すると理解しがたいものでありながら、深く掘り下げてみると、現代社会が抱える介護の問題の深刻さを浮き彫りにしているように感じました。特に、彼が「殺人」ではなく「救い」として42人の命を奪ったという主張には、彼自身の苦しみが色濃く反映されており、社会がその苦しみに無関心であったことへの怒りが見え隠れしていました。

また、大友秀美検事の物語が並行して描かれることで、介護問題が個々の家庭だけでなく、社会全体の問題であることを痛感しました。大友が自身の親との関係を見つめ直すシーンでは、自分自身も家族との関係を再考せざるを得ませんでした。親の介護に直面する時、人はどうすればいいのか、その答えが明確でないことが、この映画をより一層複雑で現実的なものにしています。

斯波の行動に対する理解と拒絶の間で揺れ動く感情は、単なる犯罪映画とは一線を画し、人間の倫理観や社会の仕組みに深く問いかけてくるものでした。この作品は、介護に関する個人的な問題と、社会的な責任の境界線を模索するためのきっかけを与えてくれました。斯波の「救い」という行為に対して、私たちがどう向き合うべきか、そして大友が象徴する「正義」とは何かという問いに対して、観終わった後も思考が止まらない作品です​ 。

この映画を観ることで、介護が必要な時期に直面する不安や恐怖、そしてその時にどうすべきかという深い問題について、より真剣に考えるようになりました。この作品は、単なるフィクションではなく、現代の私たちに対する警鐘として、多くの人に見てもらいたいと強く感じます。

ブログランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
映画ランキング

ポチッと応援して頂けたら嬉しいです

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次