WOWOWドラマ『向こうの果て』レビュー
イントロダクション
WOWOWドラマ『向こうの果て』は、主人公・池松律子(松本まりか)が放火殺人容疑で逮捕されるところから始まります。物語は、昭和60年代の東京での彼女の事件と、彼女の生い立ちや周囲の人間関係を、担当検事・津田口の取り調べを通して徐々に解き明かしていきます。律子の複雑な過去と彼女に関わる男性たちの視点が描かれ、彼女の悲劇的な運命が次第に浮かび上がっていくダークな人間ドラマです。
キャストとスタッフ
- 監督: 内田英治
- 脚本: 竹田新
- 松本まりか(池松律子役)
- 松下洸平(君塚公平役、律子の恋人)
- 柿澤勇人(津田口検事役)
- 宇野祥平(行島道夫役、律子の叔父)
各話のあらすじ
第1話 「夜叉のような女」
昭和60年、東京での物語は、池松律子(松本まりか)がマンションの一室に火をつけ、同棲相手の君塚公平(松下洸平)を殺害した疑いで逮捕されるところから始まります。律子は取り調べに対して曖昧な態度を取り、津田口検事(柿澤勇人)の追及をかわします。被害者の公平は末期の膵臓がんを患っており、治療を拒否していましたが、彼の遺言で律子が保険金の受取人として指定されていたことが判明します。律子は「保険金目当てで殺した」と供述しますが、その背景には彼女の複雑な過去がありました。
第2話 「娼婦のような女」
律子の両親は23年前に父の焼身自殺によって亡くなっており、当時12歳だった律子は叔父の行島道夫(宇野祥平)に引き取られていました。津田口は叔父の行島に会いに行き、彼が律子に対して「娼婦のような女だった」と語ることで、彼女の少年期から続く心の闇が浮かび上がります。14歳の時に律子は堕胎手術を経験しており、彼女の複雑な家庭環境と叔父との関係が次第に明かされていきます。
第3話 「嘘つきな女」
津田口は律子と公平のもう一人の幼馴染、村上姫昌の証言を通じて、彼らの幼少期の生活を知ります。姫昌は、津軽民謡一座で共に育った過去について語り、律子と彼らが経験した貧困と孤独について触れます。律子の父である池松喜平の暴力的な性格が、彼女の生育環境にどのような影響を与えたかが描かれます。
第4話 「贅沢な女」
律子は若い頃、家庭環境から逃げるために様々な関係を求め、贅沢を味わうようになります。このエピソードでは、彼女が東京で経験した誘惑や失望が描かれ、金銭的に不安定な生活の中で愛を探し求める彼女の姿が浮き彫りになります。津田口が彼女の過去に迫ることで、彼女の感情の奥底に潜む孤独と虚無が明らかになります。
第5話 「残酷な女」
津田口は、律子が多くの男性と関係を持ち、彼らを次々と裏切ってきたことを知ります。彼女の行動には常に冷酷さと自己中心的な一面が見え隠れし、その根底には幼少期からの心の傷があることが暗示されます。この回では、彼女の行動が他人をどれほど傷つけてきたかが強調され、彼女が犯した罪の深さと、その代償が描かれます。
第6話 「柔らかな女」
律子の柔らかさと脆さが見える一面が描かれるエピソードです。彼女の心の奥にはまだ愛情や優しさが残っていることが明らかになりますが、それが周囲の人々に伝わることはなく、彼女の孤独は一層深まります。律子がかつて愛した人々が彼女に対して抱いた複雑な感情が絡み合い、彼女の人生に影響を及ぼしてきたことが描かれます。
第7話 「太陽のような女」
律子は、最後まで愛を求めて生きてきた女性として描かれ、彼女の過去の人間関係が最終的な形で結びつきます。律子が太陽のように照らした人々の人生と、その影響がどのようなものであったかが浮き彫りにされます。この回では、律子が犯した罪が社会的にどのように受け止められているかも描かれ、彼女が背負ってきた重い十字架の意味が明かされます。
最終話 「太陽だった女」
最終話では、律子が最終的に裁かれ、彼女の人生が幕を閉じる様子が描かれます。彼女の過去に影響を与えたすべての人々が彼女の存在をどう受け止めたのかが語られ、律子がどのような影響を彼らに与えたのかが明確にされます。この物語の結末は、視聴者に深い余韻を残し、彼女の複雑な人格と運命を改めて考えさせられるものでした。
評価
私の感想
『向こうの果て』を観ての感想として、まずこのドラマ、めちゃくちゃ暗いです。律子の生き様を見ていると、彼女が抱えるトラウマや孤独感がズシンと心に響きます。彼女の過去や関係した人たちが次々に登場し、彼女の“やりきれなさ”が浮き彫りになっていく。正直、「そこまで深くやらなくても…」って思うくらい、律子の人生が追い詰められすぎてるんです。
特に松本まりかさんの演技がすごい。彼女の表情や声のトーンから、律子の内面の葛藤や諦め、そしてどこかに残っている愛情が感じられて、思わず「どうしてこうなっちゃったのか…」と切なくなります。暗い話が多いけど、つい目が離せない。
最終話で律子が「太陽だった女」として描かれるけど、視聴している自分にはそこまで彼女の光が届いたのかな…と複雑な気持ちになりました。最後まで重いテーマが続きますが、それだけ深く人間の暗部を描いているので、好き嫌いは分かれそう。でも、重厚なドラマを求める人にはかなりおすすめです。
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