🎬 イントロダクション
Netflixオリジナルの恋愛ドラマ映画『マイ・オックスフォード・ダイアリー』は、2025年8月1日より配信開始。アメリカ人女性アンナが夢だったオックスフォード大学で詩を学ぶ中で、運命的な出会いと恋を経て、自身の人生観が大きく揺れ動く物語です。
作品紹介
- 原題:My Oxford Year
- 配信:Netflix(独占)
- ジャンル:ロマンティック・コメディ/ヒューマンドラマ
- 上映時間:113分前後(約1時間50分)
- 原作:ジュリア・ウィーランによる小説(元はアリソン・バーネットの脚本をジュリアが小説化したもの)
- 監督:イアン・モリス(BAFTAノミネート経験あり、『The Inbetweeners』などのコメディ実績
- 製作:Temple Hill Entertainment 他
キャスト紹介
- アンナ・デ・ラ・ヴェガ(演:ソフィア・カーソン):ニューヨーク出身の野心的な詩学生。大企業への就職を1年延期し、オックスフォードに詩を学びに来る。
- ジェイミー・ダヴェンポート(演:コーリー・ミルクリースト):アンナの担当ティーチングアシスタント兼恋の相手。秘密を抱えたカリスマ的存在。
- ダグレイ・スコット:ジェイミーの父、ウィリアムを演じる。
- キャサリン・マコーマック:ジェイミーの母、アントニア役。
- その他:ハリー・トレバルドウィン、ヒュー・コールズ、ポピー・ギルバート、バーニー・ハリスなど支えるキャスト陣。
✨あらすじ(ネタバレあり)
🛫 アメリカから名門オックスフォードへ、ひとりの少女が踏み出す
ニューヨーク出身のアンナ(ソフィア・カーソン)は、幼い頃からの夢だったオックスフォード留学を叶え、1年間の詩の修士課程に参加することに。
すでにゴールドマン・サックスへの就職が内定している彼女にとって、これは「最後の冒険」。だが、古都オックスフォードの美しい風景と詩への情熱が、彼女の人生を大きく変えるとはまだ知らなかった。
💘 恋の始まりは突然に——ユーモアと詩がつなぐ心
オックスフォード初日の授業で出会ったのは、皮肉屋なイケメン講師・ジェイミー(コーリー・マルチリース)。
最初はぶつかり合う二人だったが、詩について語るうちに距離が縮まり、やがて恋へと発展。
アンナはジェイミーとのやりとりに心をときめかせるが、彼の笑顔の裏に隠された秘密が、徐々に影を落とし始める——。
💔 「生きる時間」は限られている。衝撃の告白
ある夜、アンナがジェイミーの家を訪ねた時、彼が化学療法を受けている姿を目撃する。
ジェイミーは、遺伝性のがんで余命宣告を受けていたのだ。
「僕は、少しの時間でも“生きている”って実感できる瞬間を選びたい」
そう語るジェイミーは、アンナに「離れてくれ」と距離を置く決意を伝える。
だがアンナは、“人生で本当に大切なもの”に気づき、仕事ではなく“彼との時間”を選ぶ。
🕯️ かけがえのない夜、そして別れの朝
ある晩、アンナはジェイミーに「私は、あなたのそばにいると決めたの」と語り、ふたりは夜を共に過ごす。
しかし翌朝、ジェイミーは高熱を出し、肺炎で緊急搬送される。
医師は「化学療法の影響で免疫が落ちており、もう治療は難しい」と告げる。
ジェイミーの父は、息子の意思を尊重し「自然に任せよう」と静かに頷く。
アンナは涙を堪えながら、ベッドのそばでジェイミーの手を握り、彼との最後の旅“グランドツアー”の話をする——。
🌍 グランドツアー:叶わなかった夢の旅路
パリ、ベニス、ギリシャの青い海、アムステルダムの運河…
ふたりが夢見たヨーロッパ旅行のモンタージュ映像が流れる。
しかしその中で、ジェイミーの姿は次第にフェードアウトしていく。
最後に映るのは、ビーチに佇むアンナただ一人の姿。
その場面は、彼の死を直接描かずに、静かに、深く、心に突き刺さる別れを描写している。
🕊️ 最後のページを綴るのは、自分自身の“生き方”
それから数ヶ月後——
アンナはオックスフォードに戻り、今度は詩の講師として教壇に立っている。
かつてジェイミーが授業で出した「ヴィクトリア・スポンジケーキ」を再び登場させながら、こう語る。
「詩は教えるものではなく、“生きる”ものなのです」
ジェイミーから受け取った愛と哲学を胸に、アンナは新たな人生を歩み始めた。
✍️ポイントまとめ
- 前半は英国ラブコメ的な雰囲気だが、後半にかけて一気に涙腺を刺激する展開へ
- オックスフォードの街並みと詩の比喩が全体の雰囲気を格調高く演出
- 恋愛、キャリア、生と死、自己決定といったテーマが織り込まれ、深い読後感ならぬ“観後感”が残る
🎭 私の感想
『マイ・オックスフォード・ダイアリー』を観終わって、ふと思ったんです。
これって、単なるラブストーリーじゃない。
むしろ**“現代を生きる私たち”への問いかけが、静かに込められた映画**なんじゃないかと。
主人公アンナは、完璧なキャリアパスの上に立っている女性。
ゴールドマン・サックス内定、政治への野心もあり、頭も行動力もある。
一方で、彼女は詩を学びにオックスフォードへ渡る“もう一つの自分”を信じて、道を選ぶ。
そこで出会うのが、限られた命を自覚しながら**「生きる意味」を問い続ける男・ジェイミー**。
この対比が象徴的なんですよね。
- 一方は「未来」を見て生きる人間
- もう一方は「いまこの瞬間」を生き抜こうとする人間
この二人の視点が重なったとき、映画は単なる恋愛の枠を超えて、
「人生で何を大切にするか?」という根源的なテーマに触れてきます。
そしてもうひとつ、個人的にとても印象的だったのは、
アンナが「残る」ことを決断したときに、彼女は“誰かのために生きる”という愛を選んだということ。
これはとても勇気のいることだし、今の時代、「自分らしく生きよう」「キャリアを優先しよう」という風潮がある中で、逆行するような選択かもしれない。
でも、その中に本当に自分が望む生き方があるなら、それでいいじゃないかと、映画は背中を押してくれているように感じました。
さらに言えば、この映画は「死」を悲しいものとして描くだけでなく、
**“死を意識するからこそ人生は美しくなる”**という、少し哲学的なメッセージを伝えてくれているように思います。
グランドツアーのモンタージュで、ジェイミーがいなくなる演出。
あれは“喪失”ではなく、“記憶として一緒に旅している”とも受け取れました。
「生きる」という行為は、誰かとの“記憶”を大切にすることでもあると。
キャリアも、愛も、人生の選択も、正解なんてない。
だけど**「心から選んだ道は、誰かの中で生き続ける」**
この映画は、それを静かに、でも確かに教えてくれました。


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