【Netflix】『マッドユニコーン』レビュー
イントロダクション
タイ発のNetflixオリジナルドラマ『マッドユニコーン』は、2025年5月29日に全世界で配信が開始されたドラマシリーズです 。そのストーリーは、貧しい青年が起業家として成長し、ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)を築き上げるまでの“実話ベース”の起業サクセスストーリー。特に、タイ初のユニコーン企業とされるFlash Expressにインスパイアされています 。
作品情報
- 原題・別名:『Mad Unicorn』(タイ語原題:Songkhram Song Duan / สงคราม ส่งด่วน)
- ジャンル:ビジネスドラマ、スリラー、人間ドラマ
- 制作:制作会社はタイの有力制作スタジオ「GDH 559」、クリエイターにJira Maligool、Vanridee Pongsittisak
- 配信日:2025年5月29日
- エピソード数:全7話(各話約55~71分)
- 視聴年齢制限:Netflixの評価はTV-MA(大人向け)
キャスト情報
サンティ(Santi) – 夢を背負う青年
山奥の小さな村で育った青年。中国語を独学で身につけ、都会へと飛び出す。
最初の配達は土砂降りの夜。全身ずぶ濡れになりながらも、届け先の女性から笑顔で「ありがとう」と言われた瞬間、彼は確信した——これは自分の道だと。
だが、夢が大きくなるほど、敵も大きくなる。裏切りに心を裂かれながらも、“勝つためなら何でもやる”という覚悟が彼を変えていく。
シャオユー(Xiaoyu) – 知略のヒロイン
冷静沈着で、数字と戦略に長けた才女。
サンティの情熱に最初は半信半疑だったが、その真っ直ぐさに心を動かされ、資金繰りや市場開拓を支える参謀役となる。
**しかし彼女もまた、ビジネスの荒波に飲み込まれる。**利益と友情の間で揺れ、時に彼を突き放す決断を下すが、その瞳にはいつも未練と後悔が潜んでいた。
ルイジエ(Rui Jie) – 天才プログラマー
オペラ歌手出身という異色の経歴を持つ天才エンジニア。
彼が組んだ配送システムは、サンダー・エクスプレスの心臓部となる。
だが、一度のミスが致命的な顧客離れを招く事件となり、サンティとの関係は険悪に。責任感とプライドの狭間で苦しむ姿は、観ていて胸が締め付けられる。
カニン(Kanin) – 巨悪のメンター
最初は親しげに肩を組み、「君のビジョンを応援したい」と囁くカニン。
だが、その実態はビジネスのためなら情も倫理も切り捨てる冷徹な支配者。
サンティを利用し、彼の技術と市場アイデアを奪い、自社ブランドで展開。笑顔の裏には常に計算が光る。
ケン(Ken) – 権力の御曹司
カニンの息子。ビジネスの世界では父の影に隠れがちだが、野心だけは誰にも負けない。
サンティと友人関係を装いながらも、父の命令で裏切りの駒となる。
しかし終盤、父との対立が勃発し、彼なりの信念が垣間見える瞬間は見逃せない。
ネタバレあらすじ
雨上がりのバンコク。
細い路地を、若い男がバイクで駆け抜けていく。背中の大きなバッグには、彼の未来と夢が詰まっていた。
名前はサンティ。山奥の村から、ただ一つの武器——独学で身につけた流暢な中国語——を頼りに都会へ出てきた青年だ。初めは通訳、次にコンド販売。だが、目に映ったのは不便で高額な宅配サービスに苦しむ人々の姿だった。
「俺が変えてやる」
そう決めた瞬間から、彼の人生は加速する。
ボロい倉庫と中古バイク、たった数人の仲間で立ち上げた「サンダー・エクスプレス」。雨の日も炎天下も、彼らは走り続けた。速く、安く、そして必ず届ける。その誠実さは口コミで広がり、小さな波が大きなうねりに変わっていく。
だが、その成功はすぐに巨大な影を呼び寄せる。
カニン——物流業界を牛耳る男。甘い笑みで手を差し伸べたかと思えば、次の瞬間、サンティのアイデアを奪い取り、自分の息子ケンの名で市場を侵食してくる。裏切り、圧力、そして露骨な妨害。
仲間は離れ、信じた人が敵になる。
それでもサンティは止まらない。勝つためには、守るためには、どこまで自分を犠牲にできるのか。
やがて「サンダー・エクスプレス」は、タイ初のユニコーン企業の称号を手にする。
だが、頂点に立った彼の目には、祝福よりも静かな孤独が宿っていた。そこにあるのは、失った友情、壊れた信頼、そして“成功”という名の高すぎる代償。
——これは、夢を追った男の、光と影の物語である。
まとめ
- 真正面から描かれる起業のリアル:貧困→起業→裏切り→栄光→孤独。
- 誰がヒーローなのか、それとも…?:「成功」は美談ではなく、人間性の試金石として描かれます。
- 濃密な人間ドラマ情緒:友情と信頼が生まれ、破壊され、再構築される緊張感。
- 圧倒的なエンターテインメント性:ビジネスの合戦はまるでスリラー。爽快なのに胸がざらつく余韻を残す。

『マッドユニコーン』と実話モデル企業「Flash Express」の比較表
項目 | ドラマ『マッドユニコーン』 | 実話モデル:Flash Express |
---|---|---|
主人公/創業者 | サンティ(貧しい村出身の青年。中国語スキルを武器に起業) | カオポン・ルッサモン氏(タイ北部出身。中国留学経験あり、中国語堪能) |
事業開始時期 | 作中では明確な年号は描かれず、スマホ普及後の近年設定 | 2017年創業 |
ビジネスモデル | 宅配・物流サービス「サンダー・エクスプレス」。速く、安く、全国へ配送 | 宅配・物流サービス「Flash Express」。低料金・全国配送網・自社アプリ活用 |
価格戦略 | 大手より格安の料金設定で顧客を獲得 | 市場平均60バーツ→25バーツに値下げし価格破壊 |
拡大戦略 | 小規模から都市部・地方まで急拡大。大手との競争激化 | 創業4年で全国7万拠点、ASEAN展開も視野 |
ライバルの存在 | カニン率いる巨大物流グループ。主人公を利用し裏切る | 実在の大手物流企業が価格競争・妨害などで対抗(企業名は非公表) |
仲間・チーム | シャオユー(戦略担当)、ルイジエ(天才プログラマー)など | CFOやIT部門の有力メンバーが創業初期から参加 |
試練・障害 | 裏切り、顧客奪取、資金難、仲間離反 | 急成長による人材不足、投資家プレッシャー、競合の巻き返し |
成功の証 | タイ初のユニコーン企業に到達 | タイ初のユニコーン企業(評価額10億ドル超) |
物語のメッセージ | 成功には光と影があり、代償を払わずに頂点は取れない | 急成長の裏には社会的・人的な課題が山積する |
私の感想
タイの作品を観るのは『バッドジーニアス』以来だったんですが…いやぁ、めっちゃ面白かった!
『マッドユニコーン』は起業モノということで、話の筋はある意味“王道”なんですよ。貧しい青年がゼロから這い上がり、仲間と夢を追い、裏切りや挫折を経てユニコーン企業を作り上げる——まさに教科書通りのサクセスストーリー。
でもね、これがタイ作品になると空気感が全然違う。湿った空気に雨の匂い、カオスな都市の喧騒、そこに人情と野心が入り混じる感じがクセになるんです。派手なアクションはないのに、人間関係の駆け引きやビジネスの攻防がスリラー並みに手に汗握る。
主演のナタラの演技も熱量すごくて、特に中国語を操るシーンは迫力がありました。あと、悪役ポジションのカニンが本当に嫌なヤツで…笑、だからこそ対立構図が気持ちいい。
正直、途中で「あ、これは勝てるな」という展開も読めちゃうんですが、それでも最後まで引き込まれるのは演出のテンポの良さとキャラの魅力。タイ作品って、もっと観たくなる中毒性あるな…と改めて感じました。
結論——『バッドジーニアス』でタイ映画にハマった人は、この『マッドユニコーン』も絶対ハマるはず!

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