正月の箱根駅伝、毎年なんとなくテレビをつけてしまう人は多いと思います。
僕もそのひとりです。
そこへ、池井戸潤さん原作で、大泉洋さん主演の『俺たちの箱根駅伝』。これは観るしかないでしょう、と。
ただ、正直ちょっと身構えてもいました。池井戸作品って、熱いけど胃が痛くなるじゃないですか。案の定、初回から胃が痛かったです。でもそれ以上に、ラストで背中を押される感じがありました。
この記事では、前半でネタバレなしの紹介と感想を、後半でネタバレありの感想を書いています。まだ観ていない人は「ネタバレあり」の手前まで安心して読んでください。
『俺たちの箱根駅伝』の作品情報|あらすじ・キャスト・配信
あらすじ(ネタバレなし)
舞台は、箱根駅伝の予選会。
かつての名門・明誠学院大学は、3年ぶりの本選復帰をかけて走ります。チームを引っぱるのは、4年生で主将のエース・青葉隼斗。
一方、箱根駅伝の中継を担う大日テレビでは、チーフプロデューサーの徳重亮が、上層部から「もっと数字を取れ」と迫られていました。
走る側と、それを伝える側。ふたつの「箱根」が、同じ1月2日に向かって動き出します。
主なキャスト
| キャスト | 役名 | どんな人? |
|---|---|---|
| 大泉洋 | 徳重亮 | 大日テレビのチーフプロデューサー。箱根中継の責任者 |
| 伊藤沙莉 | 宮本菜月 | 中継チームのディレクター |
| 小林虎之介 | 青葉隼斗 | 明誠学院大学の4年生。主将でエース |
| 山下智久 | 甲斐真人 | 明誠学院大学OB。元スターランナーの新監督 |
| 寺尾聰 | 諸矢久繁 | 明誠学院大学の監督 |
| 高橋克典 | 黒石武 | 大日テレビの編成局長 |
| 石丸幹二 | 竹芝秀彦 | 大日テレビの社長 |
| 竹中直人 | 辛島文三 | 中継の実況アナウンサー |
| 生瀬勝久 | 畑山一平 | 人気お笑いタレント |
| 小泉孝太郎 | 曽根 | スポンサー・ミヤコビールの担当者 |
原作は池井戸潤さんの同名小説(文藝春秋)。脚本は鈴木すみれさん・松田裕子さん。主題歌は桑田佳祐さんの「神々の襷(たすき)」です。
大泉洋さんと山下智久さん、寺尾聰さんまでそろうと、画面の安心感がすごい。そこへ若手の小林虎之介さんがどう食らいつくのか、というのも見どころです。
放送・配信情報
- 地上波:日本テレビ系「土曜ドラマ」毎週土曜よる9時(2026年10月10日スタート)
- 見逃し:TVer
- Netflix:地上波放送後に配信(10月12日時点でNetflix国内TOP10の4位)
俺たちの箱根駅伝1話の感想【ネタバレなし】
ひとことで言うと、「思ってたのと違う始まり方」。でも、それが良かったです。
初回は拡大放送で、たっぷり90分超え。長いかなと思ったら、まったくダレませんでした。
走る側とテレビ局側、二本立てがちょうどいい
このドラマ、選手のパートとテレビ局のパートが交互に進みます。
選手のパートは、汗と涙の王道スポ根。テレビ局のパートは、会議室での駆け引きが中心の、いかにも池井戸作品らしい組織ドラマ。
正直、最初は「どっちに集中したらええねん」と思いました。でも観ているうちに、このふたつが同じ「箱根」に向かっているのが分かってくる。毎年なにげなく観ている中継の裏側に、こんな人たちがいるのかと思うと、来年のお正月の見え方が変わりそうです。
大泉洋の徳重が、ちゃんと「現場の人」
大泉洋さんの徳重は、上にも下にも板ばさみのプロデューサー。
ふだんの大泉さんらしい軽さは少し控えめで、そのぶん「現場を守る」という芯の強さが前に出ています。それでいて、張りつめた場面でもふっと笑わせてくれる。このバランス感覚は、さすがだなと思いました。
山下智久の監督は、まだ底が見えない
山下智久さん演じる甲斐は、元スター選手の新監督。
口数は多くないし、手取り足取り教えるタイプでもない。選手からすると「この人、本当に大丈夫?」と思うタイプです。でも、言葉のひとつひとつに妙な説得力がある。1話ではまだ手の内を全部見せていない感じがして、2話以降が楽しみになりました。
人の上に立つって、こういうことかもしれない
小さいながら会社を回している身として、いちばん刺さったのは、走りや中継そのものより「上に立つ人」の描かれ方でした。
自分の判断で責任を取る人もいれば、責任を下に押しつける人もいる。誰かに何かを託す人もいれば、託されたものを背負う覚悟を迫られる人もいる。
スポーツドラマなのに、観終わったあと「自分はどっち側の人間やろう」と考えてしまいました。こういう余韻が残るのが、池井戸作品のずるいところです。
こんな人に刺さると思う
- 毎年お正月に箱根駅伝を観ている人
- 『半沢直樹』『陸王』など池井戸潤作品が好きな人
- 部下や後輩を抱えて、組織の板ばさみになっている人
評価
★★★★☆
ひとこと:初回からいきなり胃が痛い。でもラストでちゃんと前を向かせてくれる、池井戸節の1話でした。
※ここからネタバレあり|1話の感想と考察※ここからネタバレあり|1話の感想と考察
⚠️ここから先は1話の内容に触れています。未視聴の方はご注意ください。
まさか、初回で負けるとは
いちばん驚いたのは、明誠学院大学が予選会で負けてしまうことでした。
しかも差はわずか10秒。ケガから復帰したエースの隼斗が、レース後半に体調を崩して失速。チームは箱根への切符を逃します。仲間に「俺のせいだ」と泣きながら頭を下げる隼斗の姿は、観ていてつらかったです。
てっきり「チーム一丸で箱根を目指す話」だと思っていたので、1話の早い段階でこれをやられるとは。いきなり心を持っていかれました。
10秒って、ほんとに一瞬なんですよね。どこかでもう少し頑張れていたら、と全員が思える差。そのぶん、敗戦後にチームの空気がバラバラになっていく場面は、観ていてしんどかったです。
辞める監督と、託される監督
敗戦を受けて、諸矢監督は退任を決め、後任に教え子の甲斐を指名します。
寺尾聰さんの諸矢監督が、負けた部員たちに語りかける場面が忘れられません。負けは負けと認めたうえで、すばらしい敗者がいるから勝者が輝くんだ、胸を張れ、という趣旨の言葉。静かで、温かくて、それだけで泣けました。
長く続けてきたものを、次の人に渡す。渡す側にも、受け取る側にも覚悟がいる。仕事をしていると、いつか自分も向き合うことになるテーマだなと思いながら観ていました。
甲斐の「資格より覚悟」
学生連合チームに選ばれた隼斗は、自分だけが箱根を走ることに引け目を感じて、なかなか決められません。
「僕に、箱根を走る資格はあるんでしょうか」と迷う隼斗に、甲斐は「必要なのは、資格より覚悟なんじゃないか」と返します。そして「後悔するより、怒りの方がずっと楽だ」と。仲間の悔しさも怒りも、全部まとめて背負って走れ、と。
これ、厳しいけど優しい言葉ですよね。「気にするな」じゃなくて「背負え」。若い子にそれを言える大人って、実はそんなに多くない気がします。
ラストで甲斐が学生連合のメンバーに「3位以上」という目標を告げる場面も、思わず「マジか」と声が出ました。
テレビ局パートは、会議室がいちばんの戦場
テレビ局側では、編成局長の黒石が、箱根中継に人気お笑いタレントの畑山を独断で起用しようとします。
徳重はそれをはねつけ、タレントの事務所が激怒して大騒ぎに。最後は役員会議で、スポンサーのミヤコビールの曽根が従来どおりの中継を支持し、流れが一気に変わります。曽根がビデオ通話で、タレント起用に反対する立場をはっきり伝える場面は痛快でした。
ここ、正論だけで勝ったわけじゃないのがリアルでした。徳重は、ちゃんと味方を集めて、筋の通る形で上を動かしている。理想を守るにも段取りがいるんだな、と。
一方で、黒石が自分の暴走を下に押しつけようとする姿は、観ていてなかなかにイラッとしました。社長の判断で責任を取らされはしたものの、このまま大人しく引っ込むとは思えません。
宮本と徳重の関係にも注目
伊藤沙莉さん演じる宮本が、バラエティを少し下に見るような発言をして、徳重に「バラエティを見たことがあるのか」とたしなめられる場面もありました。
他人の仕事に敬意を払えない人は、自分の仕事も大事にしてもらえない。さらっとした場面ですが、けっこう大事なことを言っている気がします。
2話は、いよいよ学生連合チームが始動。寄せ集めのチームを、甲斐がどうまとめていくのか。そして黒石は次にどんな手を打ってくるのか。
結末が気になる方は、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
まとめ|俺たちの箱根駅伝はこんな人におすすめ
『俺たちの箱根駅伝』1話は、10秒差の敗北から始まる、思いきった初回でした。
走る学生も、それを伝える大人も、みんな何かを背負っている。スポーツドラマでありながら、働く人のドラマでもある。お正月の箱根駅伝を、今度はちょっと違う目で観られそうです。
『俺たちの箱根駅伝』は毎週土曜よる9時、日本テレビ系で放送中。見逃した回はTVer、まとめて観るならNetflixやHuluでどうぞ。
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