HBOドラマ『ザ・ペンギン』感想・あらすじ解説|バットマンの裏側で蠢くヴィランの野望とは?

HBOドラマ『ザ・ペンギン』レビュー

🔍イントロダクション

『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』は、2024年にHBOで放送された全8話のクライムドラマで、映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のスピンオフ作品です。本作は、ゴッサム・シティの裏社会で権力を握ろうとするオズワルド・“オズ”・コブ(通称「ペンギン」)の野望と葛藤を描いています。

🎥作品情報

  • 原題:THE PENGUIN
  • 放送局:HBO(日本ではU-NEXTにて独占配信)
  • 放送期間:2024年9月19日~11月10日
  • 話数:全8話(各話55~67分)
  • 製作総指揮:マット・リーヴス、ローレン・ルフラン、コリン・ファレル、ディラン・クラーク、クレイグ・ゾベル
  • 監督:クレイグ・ゾベル(第1~3話)、ヘレン・シェイヴァー(第4~5話)、ケヴィン・ブレイ(第6~7話)、ジェニファー・ゲッツィンガー(最終話)
  • 脚本・ショーランナー:ローレン・ルフラン
  • 音楽:マイケル・ジアッチーノ

🎭 主要キャスト一覧

俳優名役名(キャラクター)役柄の概要
コリン・ファレルオズワルド・”オズ”・コブ/ペンギンカーマイン・ファルコーネの元部下で、ゴッサムの裏社会でのし上がろうとする野心家。
クリスティン・ミリオティソフィア・ファルコーネ/ギガンテカーマインの娘で、アーカム・アサイラムから退院後、父の後を継いでゴッサムの支配を目論む。
レンジー・フェリズヴィクター・”ヴィック”・アギラーホームレスのティーンエイジャーで、オズの運転手兼弟子となる。
ディードル・オコンネルフランシス・コブオズの母親で、パーキンソン病とレビー小体型認知症を患っている。
クランシー・ブラウンサルバトーレ・マローニマフィアのボスで、麻薬密売人。カーマイン・ファルコーネの死後、勢力を拡大しようとする。
マイケル・ゼゲンアルベルト・ファルコーネカーマインの息子で、ソフィアの弟。
マイケル・ケリージョニー・ヴィッティファルコーネ・ファミリーの副官で、カーマインの死後、組織の再建を図る。
ショーレ・アグダシュルーナディア・マローニサルバトーレ・マローニの妻で、夫の死後、組織の指導者となる。
カーメン・イジョゴイヴ・カルロオズの恋人で、彼の野望を支える存在。
テオ・ロッシジュリアン・ラッシュ博士アーカム・アサイラムの元精神科医で、ソフィアのセラピスト。
マーク・ストロングカーマイン・ファルコーネゴッサムの元犯罪王で、ソフィアとアルベルトの父。
ジェームズ・マディオミロス・グラパファルコーネ・ファミリーの執行者で、カーマインの元ボディーガード。
スコット・コーエンルカ・ファルコーネカーマインの兄弟で、ファルコーネ・ファミリーの幹部。
デヴィッド・H・ホームズニック・フックスオズの部下で、組織の実働部隊を指揮する。
ダニエル・J・ワッツブルーノ・テスオズの忠実な執行者で、組織の拡大に貢献する。
ベン・クックカルヴィンストリート出身の若者で、ヴィックの友人。
ジャレッド・エイブラハムソンスクイッドゴッサムの新進気鋭の麻薬ディーラーで、オズの台頭に脅威を感じる。
ジェイミー・ローソンベラ・リアルゴッサム市の新市長で、街の再建と治安回復に尽力する。

🐧あらすじ

ゴッサム・シティに空前の権力の空白が訪れる。――それは、『THE BATMAN』で起きたリドラーによる水害テロと、裏社会の帝王・カーマイン・ファルコーネの死が引き金だった。

街は混乱の渦中にあり、法と秩序はもはや機能していない。この混沌をチャンスと捉えた男がいた――それが、オズワルド・”オズ”・コブ、通称ペンギンである。

オズはこれまでファルコーネの“番犬”のような立場に甘んじていた。しかし、ボスがいなくなった今、彼はついに自らの牙を剥く時が来たと確信する。
彼が目指すのはただ一つ、
「ゴッサムの王になる」こと。

しかしその道は甘くない。カーマインの娘、ソフィア・ファルコーネが現れ、父の帝国を再建しようと動き出す。彼女のカリスマ性と冷徹さは、かつての父以上。オズとソフィアの間で、血で血を洗う抗争が始まる。

そんな中でオズが拾ったのが、ヴィックという孤独なホームレス少年。オズは彼に自分の理想を託しながら、家族のような絆を育てていく。しかし、信頼と裏切り、権力と腐敗が交錯するこの世界で、心を通わせることがどれほど危ういものか…それを彼らは思い知ることになる。

物語はやがて、オズの**”暴力と策略”による成り上がりの物語**から、裏社会の覇権争いを制する“本物の悪”とは何かを問いかける、壮大なヒューマン・クライムドラマへと進化していく。

🧠考察:ペンギンという“怪物”の誕生と、ゴッサムの真の病理

1. 「成り上がり」ではなく「怪物への変貌」

『THE PENGUIN』の物語は、表面的には小悪党が裏社会の頂点を目指す王道のギャングの物語に見えます。しかし、本質的にはもっと恐ろしく、そして切実なテーマが物語の根底にあります。

ペンギン=オズは本当に“頂点”を目指しているのでしょうか?
彼はその手段として「暴力」や「支配」を選んでいますが、どこかで常に承認欲求の飢え劣等感の影を背負っています。過去に侮辱され、見下されてきた“自分”を葬り去るために、彼は「力」を求め、「王になる」ことを自らに課しているようにも見えるのです。

つまりオズは、社会に適応できなかった男が、社会そのものを破壊することでしか自己を確立できない構造に陥っている存在。これは、**現代社会における孤立や不適応が引き起こす“怪物の誕生”**という普遍的な寓話として読み取ることも可能です。


2. ファルコーネ家との“親子”構造:裏返しの家族劇

本作では、ソフィア・ファルコーネとオズの対立がメインに描かれますが、この構図は単なる権力闘争ではなく、**”父の後継者をめぐる物語”**でもあります。

  • ソフィアは「血縁」の正当な後継者
  • オズは「忠誠」によって築いた立場

この2人の戦いは、血か、信頼か、暴力か――という価値観のぶつかり合いです。特に興味深いのは、オズがヴィックという少年に対して父親的な愛情を示す点
ここに、彼自身が「家族を持てなかった過去」と「誰かを守りたいという欲求」を重ねているように見えます。

つまり、『THE PENGUIN』は単なるギャング抗争ではなく、崩壊したゴッサムの中で“家族の再構築”を夢見た男の挫折と執念の物語でもあるのです。


3. ゴッサム・シティは“社会の縮図”である

『THE BATMAN』シリーズを通して描かれるゴッサム・シティは、常に腐敗、格差、暴力、正義の不在といったテーマが付きまといます。

『THE PENGUIN』では、そのゴッサムを舞台に「正義の不在」ではなく、**”秩序の再構築を誰が行うか”**が問われます。
しかし、その担い手がペンギンのような“暴力による支配者”であることこそが、この都市の終わりなき病理を象徴しています。

つまり、「支配者が変わっても、病気の根源が変わらない限り、ゴッサムは変わらない」。この冷酷な真実こそが、視聴者に最も重く突き刺さるポイントです。


🧩まとめ:”悪が悪であることに理由がある”

『THE PENGUIN』は、単なるヴィランの誕生物語ではありません。
それは、「世界が彼をそう育てた」という悲劇の証明でもあります。

正義が機能しない都市で、愛も信頼も通じない世界で、「生き残る」ことを最優先にした男が最後に手にするものは、果たして“勝利”なのか、それとも“孤独な王冠”なのか。

視聴後に残るのは、ペンギンの冷たい眼差しと、ゴッサムという終わらない闇だけかもしれません――。

😊私の感想

『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』、正直めちゃくちゃ面白かったです!
やっぱりHBOのドラマって、**映像のクオリティも脚本の完成度も群を抜いてるな〜**と改めて実感しました。

バットマンのスピンオフって聞いて、「ヴィラン主役ってどうなんだろう?」と半信半疑だったんですが、いざ観てみたら全然ヒーローものとは違う魅力が満載。
ペンギンが“のし上がっていく”姿は、まるでマフィア映画の主人公みたいで、ハラハラするし、思わず応援したくなるんですよね

コリン・ファレルの変身ぶりもすごくて、特殊メイクの迫力と演技力が合わさって、まさに“怪物”そのもの。でも彼の中にちょっとだけ**孤独や悲しさも見え隠れするのがまた切なくて…**そこにグッときました。

あと、ファルコーネの娘・ソフィアとの権力バトルが本当にスリリングで、どっちが勝つか予想できない展開が続いて、1話観たら止まらなくなるタイプのドラマです。

それにしても、HBOドラマってほんとクセになりますね。『ゲーム・オブ・スローンズ』は自分が観てきたドラマの中でも最高だった作品ですが、HBO作品って骨太で見応えがあるのに、エンタメとしてもしっかり楽しませてくれるから大好きです。

ゴッサムの世界観が好きな人も、クライムサスペンスが好きな人も、おすすめな作品です

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