Netflix映画『ヴューダ・ネグラ: 黒蜘蛛の企み』レビュー
🎬 イントロダクション
2025年5月30日にNetflixで配信開始されたスペイン発のサスペンス映画『ヴューダ・ネグラ: 黒蜘蛛の企み』は、実際に起きた「パトライシュの黒い未亡人」事件を基にした衝撃の実録犯罪ドラマです。表向きは穏やかな妻が、裏では複数の愛人を持ち、夫の殺害を計画するという二重生活の実態が描かれています。主演はイバナ・バケロ、共演にカルメン・マチ、トリスタン・ウヨアら実力派が揃い、緊張感あふれる心理劇が展開されます。
🎥 作品情報
- 原題:La viuda negra(英題:A Widow’s Game)
- ジャンル:サスペンス、ミステリー、ドラマ、クライム
- 製作国:スペイン
- 上映時間:122分
- 配信開始日:2025年5月30日(Netflix独占配信)
- 監督:カルロス・セデス
- 配信プラットホーム:Netflix
👤 キャスト紹介
- マヘ(マリア・ヘスス・モレノ・カント):イバナ・バケロ
- 若く魅力的な看護師。夫との生活に不満を抱き、複数の愛人を持つ。
- エヴァ警部:カルメン・マチ
- 殺人課のベテラン警部。冷静沈着に事件の真相を追う。
- サルバ・ロドリゴ:トリスタン・ウヨア
- マヘの愛人で同僚の看護師。彼女の計画に巻き込まれる。
- アルトゥーロ(被害者):アレックス・ガデア
- マヘの夫。エンジニアとして働いていた。
- その他出演者:ジョエル・サンチェス(ダニエル役)、ペペ・オシオ(ベルナルド役)、パブロ・モリネーロ(トゥリエンテス役)など。
📖 あらすじ
スペイン・バレンシアのパトライシュ地区で、エンジニアのアルトゥーロが自宅で刺殺される事件が発生。容疑者として浮上したのは、最愛の妻――**マヘ(マリア・ヘスス・モレノ・カント)**だった。
一見、夫の死に悲しみ暮れる未亡人マヘ。しかし捜査が進む中、警察は彼女の知られざる顔を次第に暴いていく。
**マヘは実は、複数の愛人を持ち、SNSで他の男性たちとも巧みに関係を築いていた“魔性の女”**だったのだ。しかも彼女は、夫の生命保険や財産を手に入れるため、巧妙な計画を立てていた可能性が浮上する。
捜査を率いるのは、冷静沈着で経験豊富な女性警部・エヴァ。彼女はマヘの矛盾だらけの証言や、関係者の証言の食い違いに注目し、“黒い未亡人”の仮面の裏に隠された真実に徐々に迫っていく。
果たして、愛か?金か?それとも欲望か?
この殺人事件の本当の動機とは一体何だったのか。
実在した“毒婦”の事件を基に描かれるサスペンスの醍醐味が、画面越しにじわじわとあなたを包み込む。
🧩 実在事件との比較考察
~「パトライシュの黒い未亡人事件」 vs 映画『ヴューダ・ネグラ』~
🔸 実在事件の概要(2017年・スペイン)
『ヴューダ・ネグラ』の元になったのは、2017年8月にスペイン・バレンシアのパトライシュ地区で発生した殺人事件です。
被害者はエンジニアのアントニオ・ナバロ・セルダン。
犯人として逮捕されたのは、彼の妻で看護師だったマリア・ヘスス・モレノ・カント(通称マヘ)。
彼女は、夫を刺殺するために愛人を使って計画を実行させたとされ、最終的には愛人2人と共に殺人容疑で逮捕・起訴されました。
🔸 映画との共通点
比較項目 | 実在事件 | 映画『ヴューダ・ネグラ』 |
---|---|---|
主人公の職業 | 看護師 | 看護師(マヘ) |
被害者 | エンジニアの夫 | エンジニアの夫(アルトゥーロ) |
殺害手段 | 刺殺(7か所) | 刺殺(複数回) |
共犯者 | 愛人2人 | 愛人と看護師仲間 |
犯行の動機 | 愛人との新生活、財産 | 愛と金、自由への渇望 |
捜査担当 | バレンシア警察 | エヴァ警部(架空) |
→ 非常に忠実に実話が反映されていることが分かります。特に、主人公マヘの人間性や、彼女を取り巻く男たちとの関係性は、現実とほぼ重なっています。
🔸 映画が“脚色”したポイント
- 主人公をよりミステリアスに描写
現実のマヘは冷酷で計画的な面が強調されますが、映画では**「もしかしたら彼女も被害者?」と視聴者に思わせる多層的な描写**がなされています。 - 女性警部エヴァの存在
実際の事件では捜査チーム全体で進行しましたが、映画では一人の女性警部を配置することで、女性同士の心理的対決という構図が際立っています。 - 視覚的・心理的サスペンスの演出
映画ではフラッシュバックや内面描写、表情の変化などを駆使し、「嘘」と「本音」の境界線を曖昧にする演出がなされ、より観客を混乱させるサスペンスが強化されています。
🔍 なぜこの事件は映画化されたのか?
この事件が世界的に注目されたのは、以下の要素が重なったためと考えられます。
- 表向きは幸せな夫婦、裏では愛人を操る女の計画殺人
- SNSや出会いアプリなど現代的なツールが関与
- 「愛」と「狂気」が入り混じる女性心理の闇
- 見た目からは想像できない“普通の人”の犯行
つまりこれは、「日常に潜む異常性」がテーマとなり得る、現代社会の寓話的事件だったのです。
🧠 結論
『ヴューダ・ネグラ』は、事実に基づきながらも、映画としてのドラマ性を巧みに取り入れた作品です。
実在事件の「冷徹な事実」に、映画ならではの「心理的な余白」が加わることで、観客はただの“犯人探し”ではなく、「なぜ人は罪を犯すのか?」という根源的な問いと向き合うことになります。
真実は一つ。でも、人間の心には無数の“解釈”がある。
――それを静かに問いかける映画だと言えるでしょう。
✍️ 私の感想
いや〜…観終わったあと、しばらく「え、怖……」ってなりました。
表向きはしっかり者の看護師、裏では愛人を使って夫を消そうとするなんて、サスペンスの王道だけど、これが実話ベースってのが一番ゾクッとする。
主演のイバナ・バケロさん、めちゃくちゃ美人でスタイル抜群で静かに狂気を漂わせる感じがハマりすぎてて逆に怖い。しかも演技が上手いからラストまで飽きずに観れました。
対する女性警部エヴァもまた、静かな強さを持っていてカッコいい。
マヘと向き合うたびに、まるで**「真実 vs 嘘」「冷静 vs 感情」「理性 vs 欲望」**のバトルが起きてるようで、見応え抜群でした。
そして、これが実話ベースってのが一番の衝撃。
「現実は小説より奇なり」って言うけど、これはもう…小説でもボツになりそうなくらいエグい現実。
ただ、最後まで観て思ったのは、
人って、ほんの少しのズレや孤独で、簡単に道を踏み外してしまうものなんだなということ。
そしてそれは、他人事ではないということ。
サスペンスとしても見応えがありますし、現代社会に潜む孤独や虚像といったテーマも感じられる、深い一作だと思います。
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