『アングリースクワッド』感想|2時間あっという間の痛快詐欺劇

Netflixのおすすめに出てきた『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』。

10月1日から見放題で観られるようになっていて、タイトルに「詐欺師」とあるので、軽い気持ちで再生しました。

結論から言います。2時間、本当にあっという間でした。

監督は『カメラを止めるな!』の上田慎一郎さん。主演は内野聖陽さんと岡田将生さん。このふたりのコンビが、とにかく気持ちいい。

しかも詐欺の手口が「地面師」。土地の持ち主になりすまして、他人の土地を売ってしまう詐欺です。不動産の仕事をしている身としては、笑いながらも、ちょっと背筋が伸びる映画でした。

この記事では、前半でネタバレなしの紹介と感想を、後半でネタバレありの感想を書いています。まだ観ていない人は「ネタバレあり」の手前まで安心して読んでください。

目次

『アングリースクワッド』の作品情報|あらすじ・キャスト・配信

あらすじ(ネタバレなし)

主人公は、税務署に勤める真面目で気弱な公務員・熊沢二郎。

ある日、熊沢は天才詐欺師・氷室マコトにまんまと騙されて、大金を失ってしまいます。

親友の刑事の力を借りて氷室を見つけ出した熊沢。ところが氷室は、意外な取引を持ちかけてきます。「脱税している大物から、未納の税金を取り立てるのを手伝うから、見逃してくれ」と。

相手は、税務署も手が出せない脱税王・橘。熊沢は迷った末に、ある理由から氷室と手を組むことを決めます。

氷室が集めたのは、クセの強い詐欺師たち。こうして結成された「アングリースクワッド」が、前代未聞の作戦に挑みます。

主なキャスト

キャスト役名どんな人?
内野聖陽熊沢二郎税務署の真面目で気弱な公務員。家では妻に頭が上がらない
岡田将生氷室マコト天才詐欺師。何を考えているのか読めない
小澤征悦橘大和脱税を重ねる大物社長
川栄李奈望月さくら熊沢の部下。正義感の強い税務署員
森川葵白石美来変装が得意な詐欺師。元女優
後藤剛範村井竜也当たり屋
上川周作丸健太郎偽造のプロ
真矢ミキ五十嵐ルリ子闇金業者
鈴木聖奈五十嵐薫ルリ子の娘
皆川猿時八木晋平熊沢の親友の刑事
吹越満安西元義熊沢の上司の税務署長
神野三鈴酒井恵美子橘のそばにいる女性

監督は上田慎一郎さん、脚本は上田慎一郎さんと岩下悠子さん。原作は韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』です。2024年11月22日に劇場公開され、上映時間は120分。主題歌はKERENMIの「名前を忘れたままのあの日の鼓動 feat. 峯田和伸」です。

配信情報

  • 見放題配信:Netflix(2026年10月1日から)、FOD、Lemino ほか
  • レンタル:Amazonプライムビデオ、DMM TV ほか
  • 前日譚のドラマ『アングリースクワッド EPISODE ZERO』はLeminoで配信

※配信状況は2026年10月時点の情報です。最新の情報は各サービスでご確認ください。

アングリースクワッドの感想【ネタバレなし】

ひとことで言うと、「2時間ずっと楽しい」。これに尽きます。

内野聖陽の「冴えないおじさん」がうますぎる

熊沢は、ヒーローとはほど遠い人です。

職場では上司に逆らえない。家では奥さんに急かされる。脱税王の橘にはヘコヘコして、悔しくても何も言えない。

内野聖陽さんといえば、時代劇や重い役のイメージが強い人。それがこの映画では、汗をかきながらオロオロする、どこにでもいそうな中年男を演じています。

観ていて「わかる、その愛想笑い」と思ってしまいました。50代になると、言いたいことを飲み込む場面って増えるんですよね。

だからこそ、その熊沢が少しずつ腹をくくっていく姿に、どんどん引き込まれていきます。

岡田将生の氷室が、最後まで信用できない

一方の氷室は、ずっと涼しい顔。

味方なのか、熊沢まで騙すつもりなのか。最後まで読めません。岡田将生さんの、ちょっと冷たい笑い方がぴったりでした。

監督はインタビューで、岡田さんを選んだ理由に「いつ裏切ってもおかしくない危うさ」を挙げていたそうです。まさにそれ。

詐欺師チームが、みんなクセ強

変装の名人、当たり屋、偽造のプロ、闇金の親子。

ひとりひとりのキャラが濃いのに、ごちゃごちゃしない。それぞれの得意技が、作戦の中でちゃんと活きてきます。

チームものの「準備してる時間」が好きな人には、たまらないと思います。

不動産屋として、地面師の手口は笑えなかった

この映画の作戦は、土地の取引を使った「地面師詐欺」です。

偽の持ち主を立てて、他人の土地を売ってしまう。現実にもニュースになる手口で、ドラマ『地面師たち』で知った人も多いと思います。

賃貸の仲介や管理をしていると、本人確認や書類の確認は毎日のことです。だから観ながら、「この書類、本物に見えるな…」「ここで気づけるか?」と、つい仕事目線になってしまいました。【要確認:ご自身の仕事の書き方として合っているか】

ただ、この映画で騙されるのは、ずっと税金を払わずにきた悪い大物。だから素直にスカッとできます。手口のリアルさと、気持ちのいい娯楽。その両方を味わえるのが面白いところでした。

正直、気になったところも

ミステリーや詐欺映画をたくさん観ている人なら、「たぶんこう来るな」と途中で読めるところもあると思います。

それと、仕掛けがうまくいきすぎて「さすがにそれは…」と感じる場面も、ちょっとありました。

でも、そこを細かく気にする映画じゃないと思います。2時間、肩の力を抜いて楽しむ。そういう映画です。

こんな人に刺さると思う

  • 『コンフィデンスマンJP』みたいな騙し合いが好きな人
  • 『地面師たち』を観て、もっと軽いノリの地面師ものも観てみたい人
  • 内野聖陽さん、岡田将生さんのファン
  • 仕事で言いたいことを飲み込んでいる大人

評価

★★★★☆(4.5)

ひとこと:2時間あっという間。観終わったあと、ちょっと胸がすっとする痛快な詐欺映画でした。


※ここからネタバレあり|アングリースクワッドの感想と考察

⚠️ここから先は物語の核心に触れています。未視聴の方はご注意ください。

熊沢が本気になった理由に、ぐっときた

熊沢が氷室と組む決め手になったのは、ワインを頭からかけられたことではありませんでした。

何年も前、熊沢の同期だった岡本が、橘に罪をかぶせられて自ら命を絶っていた。熊沢は、そのことを橘本人の口から知らされます。

悪いことをした人が、平気な顔でのうのうと生きている。それを見て、普段おとなしい人が静かに怒る。ここで、この映画のタイトルの意味がすっと入ってきました。

ビリヤードの特訓が、なんか泣ける

橘に近づくために、熊沢はビリヤードを猛特訓します。

いい年をしたおじさんが、汗だくで玉を突く。正直、ちょっと笑えます。でも「ここまでやるんか」と思うと、だんだん応援したくなってくる。

取引当日の「まさか」が気持ちいい

作戦の本番は、土地の取引の当日。

狙う金額は、橘の脱税分にチームの取り分を合わせた14億円です。

話がまとまりかけたところで、氷室が突然、「今日は日が悪い」と言い出して取引を止めてしまう。え、ここでやめるの?と思ったら、そこからが本当の仕掛けでした。

偽物の警察、すり替えられたお札、そして床の仕掛け。「あ、あの場面はそういうことか」と、伏線が一気につながっていく感じは、さすが『カメ止め』の監督です。

いちばん驚いたのは、あの人の正体

個人的にいちばん「やられた」と思ったのは、橘のそばにいた酒井の正体です。

実は、ずっと前から橘のもとに入り込んでいた、氷室側の人間だった。しかも、氷室にとってただの仲間ではない存在だったことが見えてきます。

ここで、氷室がなぜ橘を狙ったのかも、少しずつ見えてきます。氷室にも、橘を許せない理由があった。熊沢だけでなく、氷室もまた「怒れる人」だったんだなと思いました。

ラスト、熊沢のひとことが最高

すべてが終わったあと、熊沢は橘に、きっちり納められた税金の額を告げます。

殴りかかるわけでもなく、怒鳴るわけでもない。公務員として、やるべき仕事をやり切っただけ。でも、それがいちばん効いている。

仕事のケリは、仕事でつける。この終わり方、大人としてめっちゃ好きです。

止まっていた時計

それと、氷室がずっと身につけている、止まったままの時計。

ラストでその時計が動き出す場面は、セリフで説明しすぎないぶん、じんわり来ました。氷室の中で、何かがやっと前に進んだんだと思います。

前日譚のドラマ『EPISODE ZERO』もあるので、氷室のことをもっと知りたくなった人はそっちもどうぞ。

結末の細かいところは、ぜひ自分の目で確かめてみてください。

まとめ|アングリースクワッドはこんな人におすすめ

映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は、冴えない税務署員と天才詐欺師が、悪い大物から税金を取り立てる痛快な詐欺劇でした。

騙し合いの楽しさはもちろん、「普段おとなしい人が本気で怒る」姿に、大人ほどぐっとくると思います。

『アングリースクワッド』はNetflixで見放題配信中。2時間、何も考えずに楽しみたい夜にぜひ。

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