早朝始発の殺風景レビュー
イントロダクション
『早朝始発の殺風景』は、WOWOWが制作したオリジナルのサスペンスミステリードラマです。物語は、早朝の始発電車や放課後のファミレス、観覧車など、さまざまな密室で繰り広げられる高校生たちの会話劇を通じて、小さな謎が解き明かされる新感覚の青春ミステリーです。各エピソードで描かれる日常の中の些細な出来事が、意外な形で謎を深め、登場人物たちの関係性や成長が丁寧に描かれています。若者たちが抱える葛藤や友情の描写がリアルであり、視聴者に共感と緊張感を提供する作品です。
キャスト紹介
- 殺風景(さっぷうけい):山田杏奈
寡黙でクラスメイトと慣れ親しまず、一見何を考えているのか分からない謎めいた人物。彼女の冷静でミステリアスな性格は、物語の進行において重要な役割を果たします。 - 加藤木(かとうぎ):奥平大兼
映画研究部の部長であり、至って“普通”の学生。彼の視点を通して、日常の中に隠された非日常の謎が少しずつ明らかにされていきます。 - 真田(さなだ):吉川愛
仲良しトリオの中心的人物。彼女の明るさとリーダーシップが、グループの和を保ちつつも新たな問題を浮き彫りにします。 - 詩子(うたこ):中田青渚
真田とノギちゃんから可愛がられる天然キャラクター。彼女の天真爛漫な振る舞いが物語に軽やかな笑いと温かさをもたらします。 - ノギちゃん:尾碕真花
俯瞰して場を見ており、独特のユーモアセンスで会話を転がす。彼女の冷静な観察眼が、登場人物たちの行動を解説し、時には鋭い洞察を示します。 - 寺脇(てらわき):伊藤あさひ
フォークソング部の部員で、後輩の葛城に想いを寄せている。彼の不器用な恋心と、何とかしてそれを伝えたいという奮闘が物語に切なさを加えます。 - 伊鳥(いとり):望月歩
フォークソング部の後輩で、寺脇を不安に陥れる。彼の行動は謎めいており、先輩たちとの関係をさらに複雑にします。 - 麻(あさ):髙橋ひかる
働きづめの母を気遣う心優しさと、寂しさを内に秘める気丈さを持つ。彼女の葛藤とその中での成長が、ドラマの中で大きな見どころとなっています。 - 直文(なおふみ):萩原利久
麻の兄で、別の高校に通い、今は離れて暮らしている。彼の存在が麻にとっての支えであり、また彼自身も成長を遂げていきます。 - 草間(くさま):藤野涼子
クラス委員長として皆に頼られる。彼女の責任感と正義感が、クラスメイトたちの関係を支えています。 - 煤木戸(すすきど):茅島みずき
クラスでかなり浮いており、歯に衣着せぬ物言いで周囲を恐れおののかせる。彼女の孤独と、その裏に隠された秘密が物語の重要な鍵となります。
各話あらすじ
エピソード1
加藤木は早朝の始発電車で、クラスメイトの殺風景と遭遇する。お互いに話したこともない二人は、なぜこんな時間に電車に乗っているのか、互いの思惑を探り合う。次第に浮かび上がる殺風景の秘密と、それを探ろうとする加藤木の好奇心が物語のスタートを飾ります。
エピソード2
真田、詩子、ノギちゃんの仲良し3人組は、学園祭のクラスTシャツのデザインを話し合うため、いつものファミレスに集まる。しかし、詩子の意外な意見により、3人の間に小さな波紋が生じる。それぞれの意見が食い違い、友情が試される場面が描かれ、次第に彼女たちの絆が深まっていきます。
エピソード3
フォークソング部の寺脇は、引退記念として部員全員で遊園地に訪れる。片思い中の後輩・葛城と観覧車に乗りたいと考えていたが、成り行きで後輩の伊鳥と二人きりで乗ることに。観覧車内でのぎこちない会話から、寺脇の隠された想いが明らかになります。
エピソード4
麻は公園で捨て猫を見つけ、離れて暮らす兄・直文に引き取ってもらおうと連絡する。久しぶりの再会に戸惑う二人は、捨て猫をどうするか話し合うが、言い争いになってしまう。互いの生活の違いが浮き彫りになりながらも、兄妹の絆が再確認されます。
エピソード5
卒業式を風邪で欠席した煤木戸のために、クラス委員の草間は卒業証書とアルバムを届けに行く。クラスで孤立していた煤木戸との会話に戸惑う草間は、彼女の嘘に気付く。その嘘の裏に隠された彼女の本当の気持ちに触れた草間は、煤木戸の孤独を理解し、少しずつ心を開いていきます。
エピソード6
通り魔事件の犯人を追う加藤木と殺風景は、危険な囮捜査に乗り出す。地道な捜査の結果、ついに犯人を追い詰めるが、その後、二人の間には微妙な距離感が生じる。事件の真相が明らかになると同時に、互いに対する信頼と距離感が浮き彫りになり、彼らの関係性に新たな段階が訪れます。
評価
私の感想
『早朝始発の殺風景』は、ミステリーとしての魅力だけでなく、キャラクター同士の関係性が非常に丁寧に描かれている点が印象的でした。加藤木と殺風景の息の合った掛け合い、彼らが次第に強く成長していく様子を見守ることがとても楽しめました。最終話で描かれるクライマックスは感動的で、物語全体を通して友情や信頼が深まる様子が心に響きました。
普段の生活の中にも小さなミステリーが潜んでいるように感じさせる作品であり、日常を少し違った視点で見てみたくなる、そんな余韻を残してくれました。キャストの演技力も素晴らしく、特に山田杏奈の緊張感あふれる演技には引き込まれました。全体的に、視聴者に考えさせる要素と楽しさを提供してくれる、見ごたえのある作品でした。また、物語の進行と共に各キャラクターの内面が徐々に明かされていくプロセスが秀逸で、視聴者としてもその変化を見逃せません。友情や信頼だけでなく、自分自身との向き合い方についても考えさせられる点が多く、観終わった後には深い満足感が残る作品です。
各キャラクターが抱える葛藤と成長が織りなすドラマは、青春の一ページを彩る感動的な物語となっています。視覚的な演出や音楽の使い方も素晴らしく、全体を通じて五感で楽しむことができる作品でした。
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