映画『エミリー・ザ・クリミナル』感想レビュー|犯罪のリアルと共感の狭間を描く注目作

『エミリー・ザ・クリミナル』(原題: Emily the Criminal)は、2022年に公開されたアメリカの犯罪映画で、ジョン・パットン・フォードの長編監督デビュー作です。主演はオーブリー・プラザが務め、彼女は製作にも携わっています。共演にはテオ・ロッシ、メガリン・エキカンウォーク、ジーナ・ガーションらが名を連ねています。

作品情報

  • 監督・脚本: ジョン・パットン・フォード
  • 製作: タイラー・デヴィッドソン、オーブリー・プラザ、ドリュー・サイクス
  • 音楽: ネイサン・ハルパーン
  • 撮影: ジェフ・ビアマン
  • 編集: ハリソン・アトキンス
  • 上映時間: 97分
  • 製作国: アメリカ合衆国
  • 言語: 英語

キャスト紹介

  • エミリー・ベネット: オーブリー・プラザ
  • ヨーセフ: テオ・ロッシ
  • リズ: メガリン・エキカンウォーク
  • アリス: ジーナ・ガーション
  • カリル: ジョナサン・アヴィドリ
  • ハヴィエル: ベルナルド・バディーヨ
  • オフィスのマネージャー: ジョン・ビリングスリー
  • ブレント: ブレンドン・スクレナー

あらすじ

ロサンゼルスに住むエミリー・ベネット(オーブリー・プラザ)は、莫大な学生ローンの返済に追われ、生活費を稼ぐため日々苦しい生活を送っています。芸術大学を卒業しながらも、過去の軽犯罪の前科が彼女の経歴に影を落とし、高収入の職を得ることができません。エミリーは、望むキャリアから遠ざかり、短期契約のケータリング業務で生計を立てています。

ある日、職場の同僚から「1時間で200ドル稼げる仕事」の話を耳にします。半信半疑で指示された場所へ向かうと、そこではクレジットカード詐欺を行う小規模な犯罪グループが活動していました。エミリーは犯罪のリスクを承知しつつも、金銭的な窮地から抜け出すため、その場の判断で詐欺行為に加担することを決意します。

初めての「仕事」で偽のクレジットカードを使い、家電を購入する役割を果たしたエミリー。緊張感と危険を伴う行為にもかかわらず、無事に成功したことで、彼女は短時間でまとまった金額を手にすることができました。次第に、彼女は主犯格のヨーセフ(テオ・ロッシ)から犯罪の手口を教わり、より高度で危険な詐欺行為に手を染めていきます。

ヨーセフとの間には不思議な信頼関係が生まれますが、エミリーの犯罪行為がエスカレートするにつれ、組織内でのトラブルや警察の目が光るリスクも高まっていきます。さらに、彼女の危険な行動は、周囲の人々や自分自身の生活に予想外の影響を与えていくことになります。犯罪に足を踏み入れたことで手にした自由と報酬は、果たして彼女を救うのか、それともさらなる破滅をもたらすのか――。

私の感想

エミリーの行動、正しいとは言えないけど、「いや、気持ちは分かるよ…」って感じで、妙に共感しちゃう部分があるんです。学生ローンの返済地獄、低賃金労働、過去の前科が原因でチャンスを奪われる現実――これって、彼女だけの話じゃなくて、どこか現代社会全体の問題を映し出しているようにも思えました。

オーブリー・プラザの演技がまた良くて。普段コメディのイメージが強い彼女が、こんなにハードでシリアスな役をやるなんて意外でしたけど、めちゃくちゃハマってました。エミリーの内面の葛藤や、「もう後がない」って感じのギリギリ感がすごく伝わってきて、完全に彼女の世界に引き込まれました。

それにしても、ヨーセフとの関係も気になりましたね。ただのビジネスパートナーのはずが、なんかこう…微妙な絆みたいなものが見え隠れしてて、観ててハラハラしました。あの二人、何が起きてもおかしくないなって思わせる緊張感が良かったです。

でも、正直言うと、エミリーの選択には賛否が分かれるところかなと思いました。彼女は確かに環境のせいで追い詰められてたけど、それでも犯罪に手を染めるってどうなの?って冷静になれば思うわけです。ただ、それを否定しきれない自分もいて、「もし自分が彼女の立場だったら…」って考えずにはいられない。そこがこの映画の一番怖いところかもしれません。

あと、ロサンゼルスの街並みがすごくリアルに映し出されてて、ギラギラした都会の中で、エミリーの孤独や絶望感がさらに際立ってました。こういうディテールが映画全体の雰囲気を引き締めていて、低予算とは思えないクオリティだなと感心しました。

結局、エミリーの物語は「選択」の話なんだと思います。彼女がした選択が正しかったかどうかは分からないけど、それでも最後まで突き進む彼女の強さと弱さを目の当たりにして、いろんなことを考えさせられました。自分だったらどうする?どこまでやれる?――そんな問いを観客に投げかける映画だと思います。

全体的に、スリリングで見応え抜群の作品でした。犯罪映画好きな人や、社会の不条理をテーマにした映画が好きな人には、おすすめの作品です。

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